"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
ドップラー効果の発見と証明
1803年の今日(11月29日)、物理学者のヨハン・クリスティアン・ドップラー (Johann Christian Doppler、1803-1853)が誕生しました。ドップラーは自身の名を冠した「ドップラー効果」の発見で特に知られています。

もともとオーストリアのザルツブルグで石工の息子として生まれたドップラーでしたが、生まれつき病弱であったために家業をつぐことは叶いませんでした。
彼の優れた数学的才能に気づいた数学者サイモン・スタムファの勧めでウィーンの工科学校へ入学するも、結局は授業内容に満足できずに郷里へ帰って独学することになります。
その後、プラハ国立工科大学の数学教授の職を与えられたドップラーはその任期中に音響現象と光学現象について研究しました。
そして、二重星の色の変化の観測から、有名な「ドップラー効果」を発見しました。
これは「波を発生している波源と観測者の片方、あるいは両方が動くことで波の振動数がずれて観測される」という現象です。
我々には救急車の音などで体感的に正しく感じられるドップラー効果ですが、当初はその証明が難しく、1845年にボイス・バロットによって行われた実験ではトランペット奏者を乗せた蒸気機関車から聞こえる音を絶対音感を持つ音楽家が記録するという方法がとられました。

音に関するドップラー効果はドップラーの予想通りでしたが、光に関するドップラー効果は必ずしも正しいものではなく、1848年にフィゾーによって光についての正しい認識が発表されました。彼らの功績は現代の天文学に大きな影響を残しています。