太平洋に流れ込むプラごみの量に愕然
私たちは、プラスチック製品に囲まれている、というより支えられて生きている。スーパーの棚に陳列された食べ物のパッケージ、歯ブラシ、シャンプーのボトル、ビニール傘……身の周りを見渡せば一目瞭然だ。
そんな生活の必需品が、近年、世界的に問題視されている海洋汚染の原因になっていること、それだけでなく生き物、そして人体にも影響を及ぼしていることを、どれくらいの人が理解しているのだろうか。
「海は、ただならない状況に陥っている」
世界中が危機にさらされている海洋汚染について、警鐘を鳴らし続けている人がいる。プロダイバーであり環境活動家の武本匡弘(たけもと・まさひろ)さんだ。
今年でダイバー歴41年目を迎える武本さんが、気候変動や海洋ゴミを調査する「太平洋航海プロジェクト」を立ち上げたのは今から6年前のこと。自ら大型ヨットを操船し、ミクロネシア海域を航海。1度の航海でグアム、サイパン、ヤップ、ポナペ、パラオ、マーシャル諸島などの島々を2〜3ヵ月かけて巡り、海の変化を誰よりも近くで見つめ続けてきた。

「はじめは気候変動の調査が目的だったけれど、いざ海に出てみると、プラごみがすごく多いことに驚いた。とくに北赤道海流から流れてきたプラごみが大量に溜っているのを見た瞬間、気候変動だけの調査ではなくなった。気候変動による温暖化と海洋プラスチックの問題は繋がっているので、同時に取り組まなければいけない」