僕らにしかできない伝え方があるんだ

とはいえ、そのとき彼の中に生まれたのは、純粋に“演者”としての欲だった。
「こういう認知度の低い病気を、もっと世間に伝えていかなければ、といった正義感とか使命感はなかったですね。悔しいのに殴れない。優しくしたいのに抱きしめられない。そういう、動きたいのに動けないもどかしさとか、意識ははっきりしているのに、体がいうことをきかない歯痒さのようなものを、芝居で表現してみたかった。とにかく、何か難しい役に挑戦したかったというのが、正直な気持ちです」

自ら、“強くなった”と実感できた20歳以降、役者としての未来を想像するようになった。それからは、常に演じたいものを見据えている。
「難しい役、演じたことのない役をやりたい欲求は、僕に限らず役者であれば誰にでもあるんじゃないですか。僕、『ラスト♡シンデレラ』に出演するまでは、とにかく悪役がやりたかったんです。一応、『ラスト〜』も、最初は篠原涼子さん演じる桜を騙そうとして近づく役でした。もっと、救いようのない悪役もやってみたい。そうやって、役を演じていない時間に、次に演じる役を夢想することはしょっちゅうです」

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ドラマ『僕のいた時間』で、三浦さんの演じる澤田拓人はALSに冒され、命の期限を背負っていく。最初は役者としての好奇心からの挑戦だったが、難病の役をドラマで演じてみたことで、実際にALSと闘っている人たちの気持ちを託されることになった。
「撮影が進んでいくにつれて、協会の方からメッセージや本を頂いたりして……。なんとかこの病気を、ドラマを通してたくさんの人に認知されれば、と考えるようになりました。僕が自主的に思ったというより、たくさんの人たちの気持ちに押されている感じで、それは初めての経験でした。僕らにしかできない伝え方があるんだと思った」
 
コメントだけをピックアップすると、とことん真面目な印象だが、たとえば好きな女性のタイプを訊かれて、「わっかんないよね〜女性のことって」と鼻にシワを寄せて悩む姿からは、いたずらっ子のような雰囲気も漂う。「人気者になって浮かれることは?」との質問には、「ない! 今一生懸命探したけど、そういう要素は、僕の中にはないです!」と快活に答えた。

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2015年、香港で開催された『進撃の巨人』プレミアにて Photo by Rachel Murray/Getty Images for FUNimation Entertainment