2つの治療薬の「組み合わせ」が標準治療へ
―この2種類の薬は現在どのように使われているのでしょうか?
まず、新型コロナでは基本的に軽症の人は特に治療をしなくともほぼ改善します。このため薬を使うのは血液中に含まれる酸素の量が低下し始めた中等症以上の患者が対象です。
そして病気の経過では、感染後に起こる風邪やインフルエンザとほぼ同様の症状の時期は、いわゆるウイルス性呼吸器感染症に典型的なウイルスが増殖中の時期です。これに対し、発症から7~10日後くらいに起きている重症化は、専門用語ではサイトカインストームと呼ばれるヒトの免疫反応が過剰になって体内で炎症が起こっている状態です。

まず、ウイルス増殖期と考えられる場合は、レムデシビルでウイルスの増殖を抑えます。また、肺炎の炎症を抑えるためにはデキサメタゾンを使うことが望ましいと考えられています。そして時期によっては抗ウイルス薬と抗炎症薬を併用することもあります。いずれにせよこの2つを組み合わせて治療をすることが標準的な治療になりつつあります。
ちなみにレムデシビルは日本国内での第一波の最中のかなり患者数が減少してきた時期に承認されたこともあり、抗ウイルス薬と抗炎症薬を組み合わせる治療は第1波の時はほとんど行われていません。
第2波では第1波の時と比べ、新型コロナ患者の致死率は下がっており、主な原因は検査体制の充実の結果、第1波の時よりも軽症の人がより多く発見されて相対的に致死率が下がっていることが大きいのですが、同時に今お話しした2つの治療薬の組み合わせが標準治療として確立されつつあることもこの点に寄与していると考えられます。