評価が難しい「アビガン」
―一時期、日本で開発された抗インフルエンザ治療薬アビガン(ファビピラビル)が新型コロナに有効なのではないかと注目されましたが。
アビガンに関しては藤田医科大学が主導して行われていた臨床研究では治療効果は証明されませんでした。一方、ロシアで行われた臨床研究では、ウイルス減少速度がアビガン投与群で早かったと結果が出ましたが、サイトカインストームなどになってしまうと、ウイルス減少が必ずしも重症化や死亡などのリスクの減少につながるわけではありません。

最近、製造販売元である富士フイルム富山化学が行った臨床試験で、アビガン投与により症状改善までの期間が短縮できたとして厚生労働省に承認申請を行ったと発表されましたが、詳細な試験結果が発表されていないので何とも言えません。
現時点ではまったく効かないわけではないかも知れないという程度しか言えない状況です。
ただ、ファビピラビルは催奇形性という副作用の可能性があるため、投与後は一定期間男女とも避妊しなければならないと定められていますので、とりわけ軽症の患者に安易に使うのはやや疑問が残ります。