2020.12.04
# 新型コロナウイルス

新型コロナ、じつは「ワクチン誕生」でもまだまだ安心してはいけないワケ

「本物のワクチン」までは時間がかかる
村上 和巳 プロフィール

回復者血漿療法とは

―先生が所属する国立国際医療研究センターでは、新型コロナから回復した方の血液の液体成分である血漿に含まれるウイルスへの抗体を感染者に投与する回復者血漿療法の研究が行われているとのことですが、どのようなものでしょうか?

この研究ではまず新型コロナにかかって回復し、研究への参加に同意していただいた人から採血を行い、どのくらいの抗体があるか(抗体価)を検査します。この検査結果は参加者にも伝えられますので、自分の状況が分かるという意味で参加者にもメリットがあります。そのうえで抗体価が高かった人から400ccの血漿を提供していただき、それを重症化した患者に投与します。

photo by iStock
 

実はこの治療法は従来から行われているもので、古くは世界最大のインフルエンザ・パンデミックとして知られる1918~1919年のスペイン風邪でも行われています。

今回の新型コロナでは流行初期に中国で患者5人に投与して有効だったとの報告がありますが、100人超を対象に同じ中国で行われた試験結果では、人工呼吸器を使うような重症患者では効果が示せませんでしたが、酸素投与が必要な中等症の患者では有効性が確認されています。

―回復者血漿療法の抱える課題はありますか?

この治療の非常に難しいところは、回復者から提供された血漿内の抗体量の個人差が大きいことです。そしてアメリカで重症者を対象に行った研究では、抗体量が多い人の血漿を入院から3日以内の患者に使用した場合は致死率が2%程度でしたが、それ以外では致死率が20%と報告されています。つまり抗体価の高い人の血漿を集め、入院直後の重症化前の投与が最善と考えられます。

国立国際医療研究センターでは既に約170人の抗体価を測定しました。その一部で経時的に観察すると、抗体価はだいたい5~6週目ぐらいでピークを迎え、それ以降は緩やかに低下していく傾向があります。

そして一部で短期間で抗体が陰性になる人もいます。全体に男性、CRPという体内の炎症レベルを表す数値が高い人、つまり新型コロナに感染して重症化した人の方が抗体価が高い傾向があります。

SPONSORED