2020.11.09
# アメリカ

「トランプ優勢」を報じ続けた「日本のメディア」、その大きすぎる問題

本当に「優勢」だったのか
平河 エリ プロフィール

テレビ局だけではない。何人かの現職の国会議員や大臣経験者すら、トランプ候補が優勢である、とツイートした。

しかし、少し考えればわかると思うが、もし仮に選挙で正当にトランプ大統領が勝利する見込みがあったなら、あのように馬鹿げた「勝利宣言」をするはずもない。つまりあの勝利宣言は、自身が負ける可能性が高いことを熟知した上でなされたものだった。

少なくともあの時点で「トランプ優勢」といえないことは明白で、注意深く開票状況を見ればバイデン候補の優勢は明らかだった。最大限トランプ大統領に好意的に考えても「情勢不明」程度だろう。

メディアは選挙前から、世論調査やデータも読まない多くのコメンテーターが、「隠れトランプ」という根拠不明の言説に乗っかってトランプ優勢を主張し続け、開票が進む中でも全く状況を理解しないまま、大統領の妄言に裏書きを与えたのではないか。

 

世論調査は間違えたのか?

トランプ大統領の勢いを伝える報道と同時に、「世論調査が『また』間違えた」というような報道がなされた。

たしかに前回ヒラリー・クリントン氏の勝利の可能性が高いと報道したように、今回、ほとんどのメディアはバイデン候補がかなり優勢に進めるだろうと見られていたなか、予想以上に結果が確定するのに時間がかかったのは事実である。

「世論調査は間違えたのか?」という問いは意味がない。世論調査はあくまで世論調査でしかない。重要なことは、世論調査から導き出された統計モデルや予測がどの程度正確であったか、ということだ(世論調査単体で言うなら、前回のクリントン候補もトランプ候補より多くの票を獲得した。破れたのは選挙制度の問題である)。

統計モデルも、あくまで確率や可能性を示すものに過ぎない。例えばABC傘下の大手統計サイト FiveThirtyEight は、トランプ大統領の勝利の可能性を約30%と報道していた。

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