インテルを買ったけれど…
足元で、世界の半導体産業の構図が大きく変化している。
世界の半導体開発と生産技術をリードしてきた米国では、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)やエヌビディアが半導体の設計・開発力を強化している。
その一方で、生産面では台湾のTSMCの存在感が一段と高まっている。
半導体の生産に関して、米国から台湾への地殻変動が進んでいるというべき状況だ。
その中で、韓国大手2社の取り組みが興味深い。
10月20日、韓国の半導体大手SKハイニックスは、米インテルから半導体メモリ事業を90億ドル(約9400億円)で買収すると発表した。

それが実現すれば、NAND型の半導体分野でのSKハイニックスのシェアはサムスン電子に次ぐ世界第2位に高まる。
シェアの拡大を額面通りとらえると、SKハイニックスの業績拡大期待は高まり、株価は上昇してよいはずだ。
ところが、インテルのメモリ事業買収を発表してから11月上旬まで、SKハイニックスの株価は軟調に推移した。
最大の要因は、SKハイニックスでのインテル買収案件の先行きに不透明感があることだろう。
今回の買収がSKハイニックスにとって、重要なプラス要因となるかあるいはマイナス要因となるか、もう少し時間をかけて判断する必要がありそうだ。