相場に影響を与えるイベントを総ざらい
米国大統領選挙が終わり、世界一の経済大国に関する政治の方向性が決着した。選挙に関連する不透明要因が解消したことにより、日経平均株価は11月12日にかけて8連騰を記録した。
年末にかけての株式市場を見る上で、(1)定期的なサイクルのイベントと、(2)その他のイベントについて、整理してみよう。

(1)定期的なイベントとしては3つ、1.企業の決算発表、2.(主要国の)金融政策発表、3.月末月初の主要経済統計、である。それぞれ、業績拡大、金利低下、景気拡大は一般的に株価の上昇材料となり、逆は下落材料となる。
1.企業の決算発表については、2020年7-9月期の決算が10月半ばから11月半ばにかけて発表されるなど、サイクルとして四半期が終了した翌月の中旬からが山場となる。よって次に材料視されるのは来年1月以降であろう。
2.金融政策については、12月中旬に、日米欧で政策会合がある。ユーロ圏ではECB(欧州中央銀行)が12月10日に金融政策を発表する。
市場では金融緩和の実施が予想されており、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を通じた国債を中心とする債券購入を、現行の1兆3,500億ユーロから増額した上で、2021年6月までの利用期間を延長することが主軸になると予想されている。
米国のFRB(米連邦準備理事会)は、これまで金融政策の指針である「フォワード・ガイダンス」や経済見通しを通じて、2023年までは利上げしないことを示唆してきた。
一方、パウエルFRB議長は11月5日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見で、「景気支援へ、資産購入策を再検証する」と言及しており、近い将来の金融緩和に含みを持たせた。米国では新型コロナウイルスの感染拡大が加速しており、少なくとも金融緩和姿勢を続ける必要があろう。次回、金融政策の判断を行うFOMCは12月15-16日にある。
日本銀行の金融政策決定会合は12月17-18日に開催される。仮に米国よりも金融政策がタカ派的と市場で受け止められると、為替市場で円高が進むリスクがある。
その場合、輸出企業の業績悪化懸念につながるため、日本銀行は円高を誘発しないよう、金融緩和姿勢を強調し続ける必要があろう。少なくとも2.の材料は、主要国で政策金利を軸に、金利低下圧力が続くとみられる。