米国のハイテク株はどうなる?
また、2021年1月20日正午までは現職のトランプ大統領の任期となる。トランプ大統領は敗北宣言を行っていない。共和党自体、大統領選挙が直後に明確に決着がついているのであれば、ジョージア州の決選投票に向けて選挙態勢を仕切りなおすことができるが、決選投票日が近づくほど民主党に有利な決定はしづらくなる。

そのため、バイデン次期大統領への政権移行がスムーズに行われない可能性がある。バイデン次期大統領は、政権移行チームを組織し、人事に関する情報も徐々に明らかになるであろう。最終的に閣僚人事は上院の承認を得る必要がある。バイデン次期大統領は民主党内で一定の勢力を持つリベラル派に配慮する必要がある。
彼(彼女)らは、富裕層や大企業への課税強化や金融規制の強化、データを独占するテクノロジー企業への規制強化を主張し、民主党内で大統領候補者を選定する予備選挙で、バイデン候補(当時)に対して一定の得票を得ていた。
極端な政策を主張する人物が閣僚として候補に挙がった場合、上院で共和党の勢力が優勢であれば、承認過程でもめる可能性がある。そのため、上院の議会情勢が不透明な現状で、問題になりそうな人事は選択されないかもしれない。
一方で、注意が必要なのは、このように米国で政権移行がスムーズに行われない中で、「主要国間の国際秩序」の大勢を担う米国の意思決定にチャレンジするような動きが生じることだ。
例えばミサイル実験や民主主義を抑圧する行動に出る国や地域があるかもしれない。仮にそのような事態が起きると、市場が国際政治の不透明さを懸念して株価の変動が大きくなる可能性があろう。
ただし、株価の最終的な決定要素は企業業績であるから、そのイベントが通商摩擦やビジネス活動の抑制にならない限り、短期的な振れにとどまるとみられる。