全てを踏まえても、株価には追い風か
最後に、株価の根幹となる企業業績についてみてみよう。
7-9月期の決算発表が概ね一巡し、企業業績の上方修正が相次いでいる。下図は代表的な約300社の日本企業を対象としたラッセル野村Large Capベースにおいて、業績修正を行った企業のうち、上方修正した企業の割合から下方修正した企業の割合を引いたものである。つまり、ゼロを超えていると上方修正が優位であることを示している。
今年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大により下方修正が優位であったものが、ようやく上方修正優位に転換しつつある。基本的に、株価には追い風の局面である。
世界の企業は新型コロナウイルスの感染拡大という大きな試練の中で、企業業績の回復を目指し、あるいはその問題をチャンスと見て成長に向けたビジネス活動を展開するなど、柔軟に対応している。
(注)2021.3期の業績、2022.3期の業績に関するアナリストの業績修正に関する指標。3の倍数月の月初以降、その四半期が終わるまでの期間中のアナリストの(上方修正件数―下方修正件数)/(修正件数の合計)の比率であり、分母の修正件数の合計が少ない3の倍数月の月初の10日間は除いている。(出所)野村證券
大統領選挙が終わり、直後の株価ラリーは一巡した。その後、主要国では金融緩和による下支えがある中で、景気回復や企業業績が回復を続けていることから、株価の趨勢は上昇傾向にある。
一方で、未だ政権移行を巡って不透明な材料は残っている。そのような材料が浮上して株価が調整する局面があったとしても、来年以降に響く長期的な問題でなければ、良い投資タイミングとして判断されるのではないだろうか。