2020.11.27
# 創薬 # 科学史

今こそ冷静に考えるべき、ワクチンと副作用の切っても切れない歴史

反ワクチン運動とはなんだったのか
大脇 幸志郎 プロフィール

偉大なワクチンが通ってきた道

現在はかなり安全になり普及したワクチンにも、それぞれに副作用の歴史がある(ワクチンによる害については「副反応」という言葉が使われるが、この記事では区別せず「副作用」と呼ぶ)

ジェンナーのワクチンが実は馬痘法だったことを思い出してほしい。この時代のワクチンには、なにが含まれているかも理解されていなかった。ワクチンは現代から見れば信じられない不潔な方法で製造され注射され、その結果として梅毒やB型肝炎を媒介した集団感染事件も起こっている。

汚染ではなくワクチンそのものによる害も、ワクチンが人体にとって異物である以上、決してゼロにはならない。

ジェンナーの牛痘法でさえ、種痘後脳炎などの副作用があり、日本でも毎年死者を出していた。種痘の致命的な副作用は古くから知られていたが、社会問題として認識され、実質的な種痘廃止に至ったのは1970年代だ。天然痘が日本ではほとんど現れなくなって20年近く経っていた。

ポリオのワクチンはもともと不活化ワクチンだったが、日本では1961年に不活化ワクチンの予防効果が弱いことが問題視され、経口生ワクチンが導入された。ところが生ワクチンは生きたウイルスでもあり、ごくまれに感染して麻痺を起こす。このため、ポリオが世界でもまれになってから、2012年には不活化ワクチンに戻された。強力だが副作用も強いワクチンをやめて、効果は弱いが安全性の高いワクチンにしたわけだ。

ロタウイルスのワクチンは1998年に登場したのち腸重積を引き起こすことがわかり、1年あまりで販売中止に至った。2006年に安全性を向上させた新しいワクチンが登場するまで、ロタウイルスのワクチンは無数の失敗例のひとつだった。

現代の改良されたワクチンの多くは、さまざまな副作用の反省から生まれている。

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