2020.11.22
# 新型コロナウイルス

世界初!360万人が受けたスロヴァキアの「全国一斉コロナ検査」、現地で味わった混乱と希望

増田 幸弘 プロフィール

私たちの順番が来たのは9時30分。2時間以上、外で待ったことになる。体育館なのできっと検査する場所がいくつかあり、ほかの会場より早く順番がくるはずだとにらんでいたが、実際には1カ所しかなく、選挙の投票所のようにブースが衝立で3つに仕切られていた。

まずは入口に置かれた除菌スプレーで手を消毒し、呼ばれたら最初のブースで身分証明書を見せ、受付をする。そこでティッシュを1枚、渡されるので次のブースで思いっきり鼻をかみ、その隣でいよいよ検査する。白い防護服を着た検査官が3人1組になり、1人が綿棒で鼻から採取し、1人が検査キットで反応を調べ、1人が取り間違えのないよう、慎重に整理していた。

検査には鼻から綿棒を入れる。

検査を怖がっている人がいたので、軍人が「みんな、励まして」と結果を待つ人に声をかけると大きな拍手が起きた。軍人が立ち会っているからといって厳めしさは微塵もなく、和気藹々とした雰囲気が漂う。励まし合う文化はスロヴァキアのよさのひとつだ。決して人のことを笑ったりはしない。たしかに鼻から入れられた長い綿棒は思っていた場所よりさらに奥へ奥へと入っていく。「えっ、うそ!」と声にならない声をあげ、「うげええっ」と叫びたくもなる。痛みはないが、奇妙な違和感がいつまでも鼻の奥に残った。

 

360万人が参集

検体の採取が終ったら番号札を渡され、ソーシャルディスタンスを保って並べられた椅子に座り、呼ばれるまで20分ほど待つ。軍人が一つひとつ検査キットの反応を注意深く指さし確認し、証明書を書く係りに伝える。氏名、生年月日、検査日、そして陽性か陰性かが記される。左下には緑色のコロナウイルスが描かれる。私の家族はみな陰性だった。もしかしたら感染しているかもしれないと、コロナ禍がはじまって以来、心のどこかでいつも引っかかていたのでホッとした。

検査を終えたら証明書が発行される。

検査のおこなわれた2日間、首相は忙しく検査会場を確認して回り、現場を激励した。ポピュリストの人気取りだと陰口を言う人もいたが、なかなかできるものではない。足らないと危惧されていたスタッフも、補欠の出るくらいボランティアが集まり、隣国のオーストリアから軍医が、ハンガリーからは救急隊員が駆けつけた。保健大臣のマレク・クライチー(46歳)は心臓病の専門医でもあり、防護服を着てスタッフの一人として働いた。

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