2020.12.07

再びコロナ禍のモヤモヤに悩む前に、知っておきたい「脳」の適応力

脳研究者・池谷裕二教授に聞く
早川 洋平 プロフィール

「ステイホーム問題」の解決法

――ステイホーム中、子供がゲームやスマートフォン、動画投稿サイトに触れる時間が増え、心配に思う大人も多くいると思います。池谷さんはどうお考えですか?

池谷 ゲームそのものが知能に悪影響を及ぼすという決定的な証拠はなく、むしろゲーム上手な人は勉強ができるというデータもあるほどです。

ポイントは「自制心との兼ね合い」ではないでしょうか。子供の多くは「今楽しく遊ぶことができればそれで良し」という思考を持ってしまいがちです。でも大切なのはそこで「今使っている時間が未来につながっている」ということをきちんと伝えられるか。

たとえば「ゲームに時間を使いすぎて宿題が終わらなかったら、この先どんなことが起こるだろう」と問いかけてみる。そして本人が気付いたら今度は「じゃあこの時間までは勉強して、その後をゲームの時間にしてみたらどうだろう」と投げかけてみる。

こうして培った「いっとき何かを我慢できる力」は、大人になってからも必ず活きます。そういう意味では自制心や時間管理能力を養うためのツールとして、スマホやゲームをうまく活用していけばよいのではないでしょうか。

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――なれないリモートワークで「やる気」がなかなか出ないという声もよく聞きます。著書『海馬』で「やればやる気は出る、やらなければやる気は出ない」という脳の性質に言及されていますが、そもそも「嫌いなこと」もやり始めればやる気が出たり、好きになったりすることもあるのでしょうか?

池谷 あると思いますよ。ただ、強いストレスを感じたり、トラウマになるくらい心が病んでしまうことに対しては止めておいたほうが良いと思います。「気が重たくて面倒」程度であれば、やり始めれば解消されます。

――最初は好きではなかったのに、続けるうちに好きになり、やがては天職にまでなってしまった、というケースもありますよね。そう思うと脳が「好き」と認識することは「意外と適当」なのかも?と感じてしまいます。

池谷 確かに「好き」と認識するのは、単純接触効果もあるのでしょうね。たとえばテレビCMでよく見かける商品をだんだん気に入ってくるというのと同じで、単純接触の回数と好感度が比例することは往々にしてあります。

 

――そう考えると「嫌い」と認識していることも、まずは手をつけてみることが重要ですね。

池谷 よほど気分が悪くならない限りは、粛々と取り組むのが良いと思います。仰々しく「困難に立ち向かうぞ!」という考えではなく、淡々と取り組む。できる人の特徴は「目の前のことを黙々と処理できること」だと私は考えます。

面倒でやりたくないから、ではなくて「決めた時間になったから、ともあれやろう」という考えが大切だと思います。

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