「大阪都構想」再否決、それでも維新は驚きの「3回目」を狙う?

維新戦略の失敗とその後
村上 弘 プロフィール

維新の「3度目提案」に向けた布石

次に、同じくコスト高になりそうな、維新の「総合区」案は、住民投票で否決された「大阪都」の3度目提案を狙う布石、「外堀を埋める」作戦かもしれない。

住民投票の直後に、しかもコロナウィルス感染症が第2波から第3波に向かおうとする厳しい時期に、維新の市長と知事が、これまで否定的だった総合区を唐突に提案するのは不思議で、相当の動機が背後にあるはずだ。

(1)維新の狙いを想像してみる

1. 「制度改革の維新」を大阪と全国にアピールする。

制度変更は、十分検討・議論されれば合理的な場合もあるが、一般に具体的政策より決めやすく、目立ち、しかも効果はすぐに判明しないので、ポピュリズム(扇動政治)にも利用できる。 

2. 緊急に必要な政策課題から、目をそらさせる効果が、客観的にはある。本来優先するべき大阪の政策課題は、山積みなのに。

・コロナ感染症対策
・「大阪都」で、特別区ごとに設置するとした4ヵ所の児童相談所の実現
・維新が問題にしてきた、大阪の学力不足問題の研究と対策
・南海トラフ地震などに対する防災対策
・(維新以前に大阪市が進めたプロジェクトの完成や、全国的な外国人観光客増による活性化の陰で目立たないが)改善されていない大阪の経済機能や企業本社、外国企業の支社の招致、など。

3. 維新のこれまでの行動パターン(府市連絡調整会議の廃止など)から考えると、

いったん総合区を作り、やはりそれではダメだということで今度は特別区=大阪市廃止の3回目提案に進む巧みな作戦かもしれない。

8総合区にして、24行政区の地名を消して「外堀を埋めて」しまえば、伝統ある区への愛着が薄れ、次回の住民投票では大阪都=4特別区への反対票が減るということだ。

4. 区ごとに選出される府会、市会議員の定数もさらに減らしやすくなり、野党議員の人数が減って、(政権の座にある)維新の権力はさらに強化される。

5. 24区ごとに置かれている各種住民サービス施設を、統廃合する効率化至上主義もあるだろう。府と市が同じ施設を持つ二重行政を、ムダだとみなすのだから。

 

(2)24区から8区への行き過ぎた統合

総合区は、地方自治法252条の20の2が定めるが、総合区への権限移譲や人口規模に関しては柔軟性がある。今のところ、導入した政令指定都市はない。

前提情報として、他の指定都市との比較が必要だ【注10】。「8総合区」案は、面積はともかく、人口で見ると大きすぎる。大都市の行政サービスは、面積よりも人口が基準になるものが多い。横浜、名古屋は15以上の区があり、京都でも11区ある。

維新の案は、区の人口規模を30万人程度に拡大するが、大阪市の区は特別区のように独自の財政機能を持つわけではないので、根拠が不明だ。

全国の市のなかには人口3~5万人のものもあり、東京都の特別区でも人口20万程度以下のものが複数あり、総合区は一般市や特別区より権限・業務がずっと小さいことを考えると、原則として今の区のまま総合区にする(代わりに権限移譲は小さくする)という考え方もありうる。

地名や地域のアイデンティティーを残すことも大切で、とくに人口が小さな区だけ2つを合併して「○○△△区」というように「連結姓」にするなら、少しはましだろうか。

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