「大阪都構想」再否決、それでも維新は驚きの「3回目」を狙う?

維新戦略の失敗とその後
村上 弘 プロフィール

(3)従来の維新、大阪市、嘉悦報告書は総合区に否定的だった

今回の大阪都否決以前の、大阪市による解説は次のようなもので【注11】、総合区のデメリットは、メリットよりも実質的で深刻に見える。

メリット:住民の声をより直接的に施策反映できる。意思決定が迅速になる。
デメリット:市役所の局から総合区への分散で、職員数が増え、また専門性の確保が課題になる。

少し冷静に考えると、このうちのメリット部分にしても、総合区には議会がないので強くなった区長への監視や審議が難しく、「直接に反映」され「迅速」に決定されるのは、特定勢力の要求や区長の個人的意見になるかもしれない。

「住民の声」は区単位でまとまるものなら総合区の方が反映しやすいが、今の制度でも区長が市の担当局に伝えて実現する可能性はある。

逆に、大阪市全体で一定のまとまりになるような分野別の多様な「声」(政策要求)は、それが総合区の権限の対象として地域分割されれば、無視されやすくなるだろう。

大阪市の委託による嘉悦学園報告書【注6参照】(2018年)が、「総合区の経済効果(歳出削減効果)は非常に小さい」と算出していることも、参考にしたい。

大都市にはこの種の「分散した重要政策」が多数存在するが、都道府県にとっては小さすぎ、特別区の担当ではバラバラになり、大阪市サイズの自治体の担当がふさわしい。

(4)コスト、デメリット

上のようなデメリットに加えて、(2)の8つの特別区への大幅統合のマイナスは深刻だ。

8総合区の庁舎は本当に新築しなければならず、不便でも「旧大阪市役所」ビルに分散配置してしのごうとした大阪都の特別区よりも、はるかにコストがかかる。この建設費用を、明らかにするべきだ。

総合区が大きすぎて、地域の問題状況があいまいになったり、地域特性に対応できないおそれもある。現在は24区ごとの各種統計データが公開されているが、消えてしまう。

効率性優先の維新なので、現在24区ごとに置かれている施設(保健センター、図書館……)を統廃合し、行政サービスが低下するおそれも大きい。

 

(5)決定手続き、スケジュール

この制度変更を急ぐ理由は全くなく、前にも書いたような優先すべき政策課題に取り組むべきだ。野党やマスコミは、その点を監視・指摘すべきだ。

大阪市廃止構想(いわゆる大阪都)住民投票の区別結果を見ると住民の意向を聞く必要が大きいので、総合区は、次の市長・市議会選挙の争点にしなければ、民意を問うたことにはならない。そのあとで決定すればよい。

今の24区への権限移譲(予算要求権含む)は、適切な範囲で進めていただきたい。今の24区を原則そのまま総合区に格上げすることもできる。住民投票で示された多数派の「民意」は、24区の存続を求める願いをも含んでいる。

最終的には、8区への統合案に対して、市民が、住民投票を行う大阪市条例を、50分の1以上の署名を集めて直接請求(条例制定請求)する方法がある。

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