コロナ感染の拡大が止まらない米国では我が国以上にECが急拡大する一方、ECで注文して店舗の駐車場で受け取るカーブサイド・ピックアップが爆発的人気となって食品スーパーやディスカウントストアの売上を押し上げているが、アパレルだけは店舗売上の落ち込みをECで埋めるには遠い状況だ。
その主要因がアパレル特有のフィットとサイズの壁で、ZOZOSUITから3DカメラAIまで次々と繰り出されるバーチャル・フィッティングも決定的な解決策とはなっていない。アパレル業界はこのまま崩壊していくだけなのか――流通ストラテジストの小島健輔氏は、そんなアパレルECの試着の壁を超える決定打は「ウェブルーミング型試着サロン」だと提唱する。
ECはどこまで店舗売上の落ち込みをカバーしたか
ちょっと前の話になるが、コロナ禍で店舗売上が激減した3〜5月期のオンワードホールディングスの国内アパレル事業売上は百貨店が71%、SCや駅ビルが40%も減少した一方でECは50%も伸びて45%を占めたが、それでも店舗売上の減少を埋めきれず国内アパレル事業全体では41%も減少した。
ユナイテッドアローズの4〜6月期も店舗売上が63.5%減少した一方でECは40.2%も伸びて48.5%を占めたが、店舗売上の減少を埋めきれず全体では40.0%減少した。

米国でもノードストロムの5〜7月期は店舗の営業日数が半減して売上が73.8%も減少したが、EC比率が61%に達しても店舗売上の減少を補えず全社売上は52.9%も減少した。
その一方、ウォルマートUSの5〜7月期は生活雑貨と食品が好調でECが97%も伸び、既存店売上も9.3%増加した。