2020.12.03
# アパレル

「ECの限界」に直面したアパレル業界…じつは新しい「試着サロン」が突破口になる!

ウェブルーミング型試着サロンの可能性
小島 健輔 プロフィール

ウォルマートのECは店舗在庫引き当ての店舗出荷や店舗渡しが大半を占めるためEC売上を別途計上しておらず店舗売上に含まれるが、20年1月期では215億ドル(ウォルマートUS売上の6.3%)に達したと推計される。

コロナ禍の5〜7月期はそこから97%も伸びて既存店売上を9.3%押し上げたわけだから、EC比率は瞬間風速ながら9.6%に達したことになる。その勢いをもたらしたのがカーブサイド・ピックアップだった。

カーブサイド・ピックアップはECで発注と決済を済ませて時間予約した店舗の駐車場で受け取るだけだから、混雑する店内で商品を探しピッキングして袋詰めする手間と感染リスクを回避できるメリットが大きく、コロナ禍の購買慣習として急拡大したが、サイズやフィットのお試しを要するアパレルはその対象となりにくかった。

もしもECで確実にサイズが選べたなら、もう少しは店舗売上の落ち込みをカバー出来たのではないか。

カーブサイド・ピックアップが好調なウォルマート photo/gettyimages
 

バーチャル・フィッティングが決定打とならないワケ

ZOZOSUITの大失敗は記憶に新しいが、それを乗り越えるべくZOZOSUITも工夫して新世代に進化しているし、スマホで撮影した画像データをAIが顧客属性から3D化して採寸したり、過去の購買履歴のサイズと選択商品のサイズを比較したりと、様々なアプリが実用化されているが、これで安心という決定打はいまだ見えていない

人体は三次元の生体だから呼吸や食事でサイズは少なからず動くし、運動したり脱ぎ着する余裕もアパレルには必要だ。

それも単純な寸法だけでなく、素材の伸縮率や伸縮方向、落ち感や張り腰感、重量や摩擦係数、工業パターンの組み方や縫製仕様でも大きく違うとなると、どこまでAIが進化しても限界がありそうだ。

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