2020.12.03
# アパレル

「ECの限界」に直面したアパレル業界…じつは新しい「試着サロン」が突破口になる!

ウェブルーミング型試着サロンの可能性
小島 健輔 プロフィール

人体は多様で着衣の対応が必要

TFL(Tokyo Fashion Technology Lab)のレポートに拠れば、まず呼吸によって胸囲は4cm程度変化し、脱着や運動に対応するには、さらに10cm程度の余裕が必要だとする。つまり、人体の実寸よりアパレルは胸囲で14cm程度大きくないと着られない(ストレッチ素材はそこまで必要ないが加圧がかかる)。

人体は胸囲ではトップバストとアンダーバスト、腰回りではウエストと腰骨周りとヒップなど部位、男女や年齢、体型によって極めて様々だし、それに纏うアパレルもシルエットやフィットの嗜好、素材の物性によって限りなく多様だ。

ブラジャーがアンダーバストとカップのサイズだけでなく3/4カップやハーフカップ、寄せたり上げたりのパターンや素材が開発されて様々なバスト形状に対応できるようになったのとは逆に、ジーンズはトレンドを追ってウエスト位置が高くなり、呼吸や動作で寸法が変わり難く楽に着れるローライズデザインが無くなったことも人気衰退の一因かも知れない。それだけ人体は多様で着衣の対応が必要なのだ。

ZOZOSUITなども進化しているが photo/gettyimages
 

同じ人物でも季節によって体型は多少変わるし、何年も経てば一変することもある。TPOによってもフィットは異なるし、フィットのトレンドは数年で2サイズ分も動く。

バブル崩壊でミニマルデザインに転じた90年代には肩幅が6センチも縮まったし、近年は中古衣料店の売れ行きが大きいサイズに偏って小さいサイズばかり残るという傾向が続いている。アパレルの企画や生産に詳しい人ほどバーチャル・フィッティングに懐疑的になってしまうのも致し方ないだろう。

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