D2Cのスタートアップブランドなど受注生産のクラウドファンディング型ECから始めてECを広げていくから、単品軸の「線」のMDから「面」のMDに広がらず、事業規模の拡大が難しくなる。その分、在庫消化の効率は良いから規模を負わなければ収益を確保できるが、店舗展開ブランドのような世界観を確立するには限界がある。
元からD2Cでスタートするならともかく、「面」のMDで一定規模を売ってきたブランドが過半をECで売るようになるのは無理がある。その壁を超えるのがウェブルーミング型の試着サロンだ。
「ウェブルーミング型試着サロン」に注目
試着販売というとサンプルを揃えたショールーミングストアというイメージがあるが、ポップアップなど期間限定店舗以外は試着サンプルの運用が煩雑で上手くいかず、ZARAやGUも実験段階に止まっている。
代わって期待されるのがECからお取り寄せして試着するウェブルーミングサロンで、顧客がECから取り寄せるから無駄なサンプルを置かずに済み、販売員が立ち会ってフィッティングするからお直しもできるし、購入しなかったり返品された商品のコンディションも管理できるから再販率も高まる。

米ノードストロム百貨店のサテライト店舗「ノードストロム・ローカル」がその代表例でロサンゼルス市内の住宅地に三店舗を配し、ECから市内9店舗のノードストロム百貨店の在庫を取り寄せて試着できる。
280平米ほどのサロンには大型の試着室と洒落た接客スペース、ネイルサロンやカフェ、テーラーサービス(修理加工)のカウンターが配され、スタイリストが常駐してコーディネイトをアドバイスし、フィッティングではお直しのピンも打つ。
19年10月にウィメンズ旗艦店を開設したNYマンハッタンでも、先駆けて9月にアッパーイーストサイドとウエストビレッジに「ノードストロム・ローカル」を開設している。