韓国コスメ業界自体が美しさの多様性に着目

「無理をしない、本来ある自分らしい美しさ」を求める動きは、芸能人に限ったことではありません。

 

日本でもブームとなっているパーソナルカラーや骨格診断は、韓国でもトレンドに。流行りのメイクや誰かの真似のメイクではなく、自分に合ったメイクやファッションを見つけたいという女性たちが増えています。

コスメ界ではMy Lip But Better(自分の唇の色と大きく変わらないけれどよりキレイに見える)を意味する『MLBBリップ』や、My Cheek But Better(自分の頬の色と大きく変わらないけれどよりキレイに見える)の『MCBBチーク』が定番に。単に流行のカラーを求めるのではなく、「自分に合っているかどうか」が重要で、自分らしさを引き立てるアイテムが人気を集めています。

また、ジェンダーニュートラルをコンセプトに新しい美しさを提案をするコスメブランドの『LAKA』では、ジェンダーの垣根をなくしてビューティモデルを起用して話題になりました。韓国コスメ業界自体も一律の美しさではなく、美しさの多様性に着目し始めているところが増えています。

『LAKA』のファンデーションのイメージモデルカット。従来の化粧品の広告とはアプローチが違う。写真/『LAKA』公式instagramより
そばかす顔のメンズモデルのキム・ジンゴンも起用。そばかすを生かしたメイクが可愛いという声も。ジェンダーレスな展開もおもしろい。写真/『LAKA』公式instagramより

こういった動きの背景には、韓国の人々が現在「自分らしい生き方」への関心が高いことも影響しています。

韓国ではある意味日本以上に、人と違うことをよく思わない思考が根付いています。人はそれぞれ顔も体型も性格も違うのに、少しでも異なる部分があると「間違っている」と指摘されてしまうことがあります。

この考え方は見た目だけでなく「女性は〇〇でなければならない」「20代は〇〇でなければならない」といった生き方やライフスタイルに広がっています。「常識」や「普通」というワードに含まれ、人々の思考をがんじがらめにしてきました。なんでも「他人と一緒ではなければならない」という風潮が、個性を認めず、逆にコンプレックスを煽る形が脈々と続いていたのです。