2020.12.07
# 経営者 # ワイン

美味しい「日本ワイン」の舞台裏にあった、製造会社の真っ直ぐすぎる経営

「サントネージュワイン」久光社長にインタビュー
夏目 幸明 プロフィール

最後は、経営者が決断するしかないんです。だから、人の話を納得するまで聞き、できる限り正しい判断をするよう心がけています。

当社に来て面白いな、と思ったのは、ワインの生産者はライバルなのに仲が良く、技術情報もオープンなことです。

photo by iStock

麦のお酒は年に何度も仕込めますが、葡萄を仕込む期間は限られるため、1社だけでは試行錯誤できる回数が少なく、だから皆で情報交換をするのでしょう。

キラリと光る「日本のワイン」を

組織は困難と偶然の力で成長すると思います。例えば温暖化により、葡萄畑の環境は日々変化していますし、事業である以上、好きなだけ投資をして思い通りの機械を入れることもできません。

しかし、様々な困難を乗り越えようと試行錯誤を繰り返すうち、偶然、クリエイティブな何かが見つかるのです。

よく考えれば、お酒の多くは偶然生まれたものです。発酵は「腐る」ことと同義で、世界の様々なお酒は、麦や米や葡萄にたまたま糖分をアルコールに変える菌が結びつくことで誕生しています。

ウイスキーも、樽に隠したお酒を、偶然何年も放置したことからその独特の香味が生まれています。

 

自然や発酵といった人智の及ばぬものと相対する私たちの仕事は、今もそんな歴史の延長線上にあると感じています。

これからも、毎年の葡萄の違いに直面したり、様々な人間の知識を掛け算したりしながら、キラリと光る「日本のワイン」を探して行きたいと思います。(取材・文/夏目幸明)

久光哲司(ひさみつ・てつじ)
'58年北海道生まれ、千葉県育ち。東北大学農学部を卒業後、'83年にニッカウヰスキーに入社。'06年にブレンダー室長に就任し、世界的な賞を多数受賞。その後、栃木工場長、取締役等を経て'19年にサントネージュワインの代表取締役社長に就任。趣味は読書で、最近のお気に入りは堂場瞬一の警察小説

『週刊現代』2020年11月28日号より

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