2020.11.29
# オバマ # 翻訳

日本メディアの「オバマ回顧録」の翻訳、その訳文がはらむ「危険性」を考える

政治的衝突の火種になりかねない
鴻巣 友季子 プロフィール

げに翻訳とは両刃の剣であり、歴史を揺るがした翻訳・誤訳は枚挙にいとまがないだろう。

さて、オバマ前大統領の待望の回顧録がアメリカで発売されたが、そこにも翻訳紛争の火種はひそんでいた。通信社の報道記事や、テレビ局のニュースなどのなかに、ともすれば、危険をはらみかねない訳文があったのだ。

 

「感じは良いが、やりにくい?」

オバマ氏の回顧録 A Promised Land(約束の地)は、全二巻のうちの一巻目であり、若いころの政治的大志や、2008年の歴史的大統領選挙戦、それからホワイトハウスでの最初の数年間について綴っている。

2009年に訪日したオバマ氏は日米同盟の今後に関するスピーチを行い、その後、当時の首相・鳩山由紀夫氏と会談した。回顧録には、そのときのことを短く綴ったページがある。問題となっている箇所は赤文字と青文字の部分だ。

【共同通信】オバマ前米大統領は17日に出版した回顧録「約束の地」で、2009年の大統領就任後、初めて訪日した際に会談した鳩山由紀夫元首相について「感じは良いが、やりにくい」と振り返った。「3年未満で4人目の首相だった。硬直化し、目的を失って漂流した政治の症状」と指摘した。

【時事通信】オバマ前米大統領は17日発売の回顧録で、2009年11月に鳩山由紀夫首相(当時)と初会談したことに関し、「感じは良いが厄介な同僚だった」と指摘した。その上で、「3年弱で4人目の首相であり、日本を苦しめてきた硬直化し、目標の定まらない政治の症状だ」と酷評した。

【NHK NEWS】アメリカのオバマ前大統領が回顧録を出版し、就任後に初めて会談した当時の鳩山総理大臣について、「硬直化し、迷走した日本政治の象徴だ」と記すなど、当時の日本政治に厳しい評価を下しています。

【TBS NEWS】11月に初めて日本を訪問した際に会談した当時の鳩山総理大臣について、「感じはいいがぎこちなかった」と振り返りました。その上で、当時の日本の政治状況をめぐり、「鳩山氏は3年未満で4人目の総理だった。日本を長年悩ませていた硬直化し、目的を失った政治の症状であり、彼は7か月後には退陣した」と酷評しました。

関連記事