トランプの大失態…じつは「中国経済の台頭」を強力に後押ししていた…!

強硬にやった結果がこれだ
加谷 珪一 プロフィール

上記を総合的に考えれば、中国を牽制するカードとしてもっとも有効なのは、米国への輸出を制限することと、人民元の国際化をストップすることの2つでることは明白だ。実際、オバマ政権までの米国は、中国に対してこの2つを、ある時は「エサ」として、そしてある時は「脅し」として使い、チベットや香港など人権問題に絡める形で交渉を進めてきた。

こうした交渉で大事なのは、カードを使い切らないことである。特に貿易の制限や国際金融市場からの締め出しは、「伝家の宝刀」なので抜いてしまったら終わりである。「抜くぞ抜くぞ」と脅して、最後は抜かずに落としどころを見つけるのが交渉のカギとなる。

ところが、自称、交渉上手のトランプ氏は、中国との落としどころを見つけられず、結局はほぼすべての輸入に関税をかけ、中国と貿易戦争に突入してしまった。これによって何が起こっただろうか。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

バイデン政権の対中交渉は難航する

確かに中国の輸出産業は大きな打撃を受けたが、中国経済全体では思ったほど成長は鈍化しなかった。その理由は冒頭にも述べたとおり、中国は徐々に輸出主導経済から内需主導型経済へのシフトが進んでおり、国内消費である程度、経済を回せる体制が出来上がっているからである。

しかしながら、これはあくまでも結果論であって、中国共産党の指導部は、当初はトランプ氏が仕掛けた貿易戦争に戦々恐々としていただろう。まさにこれは伝家の宝刀であり、抜かなければいつまでも効果は持続していたはずだった。ところがトランプ氏が「やらかしてしまった」ことで、関税というカードにはもはや大きな効果がないことがハッキリ分かってしまったのである。

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