トランプの大失態…じつは「中国経済の台頭」を強力に後押ししていた…!

強硬にやった結果がこれだ
加谷 珪一 プロフィール

非常に残念なことだが、中国は今回の一件で、自国の経済運営に相当な自信を持ったに違いない。もう米国から「輸出を制限するぞ」と脅しをかけられることはないので、米国(及びそれに連なる日本)に対して一切配慮することなく、自国の政策を推し進められる。

実際、10月に開催された中国共産党の重要会議「中央委員会第5回全体会議(五中全会)」では、内需主導型経済を推進するという明確な方針が示された(厳密には双循環経済、つまり内需を中心に外需との両輪で経済を回すという表現だが、これまでの経緯を考えると、事実上、この方針は内需転換と理解してよい)。

対米貿易について気にする必要がなければ、国際金融市場からの締め出しも大きな問題にはならない。中国はこのところ香港の弾圧を強化したり、デジタル人民元の実証実験を世界に先がけて実施するなど、西側諸国の枠組みを無視する行動が目立っているが、その背景には関税という最大の弱点が消滅したことが大きく影響している。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

日本国内には、どういうわけかトランプ氏のことを、日本を中国から守ってくれる正義の味方と認識する人がたくさん存在している。トランプ氏はアメリカ・ファーストを掲げて大統領になった人物であり、基本的に「米国の利益しか考えない」と公言している人物だ。

トランプ氏はあくまで自国あるいは自分自身の利益のために中国と交渉しているのであって、それは日本のためでも国際社会のためでもない。オバマ政権までの米国なら、仮に米国が多少、損をしても国際社会のリーダーとしての地位を維持することで、最終的に帳尻を合わせれば良いという共通認識があったかもしれないが、トランプ氏にはそれはまったくない。

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