ビートたけしが自分自身の生と死について語った「生前弔辞」

73歳になった俺が、今考えていること
ビートたけし プロフィール

ジョブズも死んだら「タダの骨」

どんな金持ちであっても、あのスティーブ・ジョブズだって、くたばりゃタダの骨です。どんな金持ちでもやっぱり、死ねば同じじゃねえかって思います。

でも、情けないことに人間は、死後の世界とかあの世とかいろいろな概念を作ってきたけど、完全に証明したヤツは誰もいないし、未来がいかにすごいかと言ったところで、ホーキング博士の言う、タイムトラベラーが現代の我々を訪ねてきたことなんか一回もないんです。

私は47歳の時にバイク事故で死にかけました。

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実は、今の私は、自分が認識している現在の「私」ではなく、ほんとうは、事故のあとも植物状態で病院にずっと居続けているのではないかと考えることがあります。今、私が見ている光景は、入院中の私が頭の中で描いたバーチャルなものなのではないかと。

 

だから、朝起きて、ゆっくりと目を開けるとき、もしも天井が病院の病室だったらどうしようと、たまに不安になります。退院してから、現在までにやった仕事は全部、嘘で、入院してまだ1週間の自分に戻ったらどうしようという恐怖が拭えません。人間の「生きる」「死ぬ」という概念もまた、人間の脳が作り出しているのかもしれません。

丹波さん、戻ってきて死後の世界を教えてくれよ

ただ、自分で「生きる」「死ぬ」をそんなに自覚しなくてもいいのかな、もう、なるようにしかならないし、と思っている自分もいます。

死後どこどこへ行くなんていうのも、正直、どうでもいいことです。

亡くなった丹波哲郎さん、今、どこで何しているのかな。丹波さんは、なぜか私のことを尊敬していまして、よく「死後の世界では、あなたは私よりもずっと格上の存在なんです」とか言われて困りました。死んだ後も上とか下とかあるのか、大霊界ではそうなのか、とか思いましたが、そこまで言うなら丹波さん、一回、こっちに帰ってきて、もっといろいろ教えてくれないかなと思いながら、私は今日を生きております。

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