大企業では事態は改善されたが零細企業では深刻
GoTo政策は、支出の一定率を補助するものだ。したがって、高額のものほど補助額が大きくなる。だから、人々は、宿泊するなら、安宿に泊まるよりは、豪勢で高価なホテルに泊まろうとする。外食するなら、安い外食店ではなく、高級レストランや料亭で食事をする。
ところで、一般に、高額のサービスを供給しているのは大企業だ。したがって、GoTo政策は、大企業を助けることになる。その半面で、安いサービスを提供する零細企業には、恩恵が及ばない。
このことは、データで確かめることができる。図1は、法人企業統計調査のデータから、宿泊業、飲食サービス業、娯楽業について、大企業(資本金10億円以上)と零細企業(同、1000万円以上 - 2000万円未満)の売上高の状況を示したものだ。対前年同期比が、4-6月期と7-9月期でどのように変化したかを示している。
■図1 売上高の対前年同期減少率(%)

宿泊業の大企業では、売上高の対前年同期比が、4-6月期には71.9%減であったものが、7-9月期には42.8%減と、約半分に縮小した。つまり、4-6月期の深刻な状況は、7-9月期にはかなり改善されたわけだ。
それに対して、零細企業の場合には、売り上げの対前年同期比は、4-6月期には90.0%という激しい落ち込みだった。7-9月期になっても、まだ79.7%減だ。このように、零細企業では、売上減減少の深刻な状況は、ほとんど変わっていない。これを反映して、7-9月期の人員は、対前年同期比で66.1%も減っている。
同様の傾向が、飲食サービス業についても見られる。すなわち、大企業では、4-6月期から7-9月期にかけて、売り上げの対前年同期比減少率が35.1%から7.4%へと大きく縮小した。それに対して零細企業では、売り上げ減少率が28.1%と21.4%であり、ほとんど変わらないのだ。
娯楽業では、大企業では、4-6月期から7-9月期にかけて、売り上げの対前年同期比減少率が66.4%から32.9%へと大きく縮小した。それに対して零細企業では、売り上げ減少率が86.6%と74.9%であり、大きな変化はみられない。
このように、深刻な事態が続いているのは、零細企業なのである。