「強きを助け、弱きを見捨てる」、これがGoTo政策の本質だ

コロナ強者に集中する補助金の恩恵
野口 悠紀雄 プロフィール

最も弱い部門が大きな打撃を受けている

以上で見たように、宿泊業や飲食サービス業、あるいは娯楽業などの対人サービス業が、外出自粛や営業規制によって深刻な事態に陥っている。

これらの業種の零細企業は、日本経済で最も賃金水準が低い弱い部分だ。2020年7 - 9 月期における賃金水準(四半期の人件費/人員計)を法人企業統計調査でみると、全産業・全規模では、122.8万円だ。

ところが、企業規模別にみると、大企業(資本金10億円以上)が175.8万円であるのに対して、零細企業(資本金1000万円以上 - 2000万円未満)では96.7万円と、ほぼ半分にすぎない。

宿泊業の零細企業では75.6万円であり、飲食サービス業の零細企業では61.1万円に過ぎない。娯楽業の零細企業では、85.1万円だ。そして、上述のように、宿泊業の零細企業では、7-9月期に人員が昨年比で実に7割近く削減されている。

つまり、新型コロナによる経済停滞は、もともと日本経済で最も弱い部分を直撃しているのである。だから、この部門に対する対策が必要なことは間違いない。

 

しかし、そうした場合の政策は、サービスの価格を操作することではなく、事業者に対する直接の補助金として与えるべきだというのが、経済学の基本的な考え方だ。GoTo政策はこの基本原則に従っていないために、以上のような問題が起るのである。

さらに、つぎのような問題もある。

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