大量殺人と連続殺人の相違点
自分と直接関係がない複数人を殺害する事件を「無差別殺人」と呼ぶが、その中でもさらに「大量殺人」と「連続殺人」の2種類に分類することができる。まずは有名な殺人犯を挙げながら、この2種類について解説していこう。
前者の「大量殺人」とは、文字通り一度に1ヵ所で多くの人間を殺害する事件のことを指し、アメリカなどでしばしば発生する銃乱射事件や2008年に起きた秋葉原通り魔事件などが該当する。代表的な事件として、2012年にアメリカのコロラド州で発生した「オーロラ銃乱射事件」を挙げておきたい。
犯人であるジェームズ・ホームズは上映中の映画館に銃を持ち込み、映画の銃撃シーンに合わせて拳銃やショットガンを観客に向けて乱射した。死者は12名、負傷者は58名にも上った。このように、一度の犯行で何十人もの人々を無差別に殺害するのが、大量殺人の特徴である。

そのため、その多くは、逮捕される前に自殺する、あるいは警察官に銃を向けて逆に射殺されるケースがかなり多い。1999年にアメリカの同州で発生したコロンバイン高校銃乱射事件の場合、犯人であるエリック・ハリスとディラン・クレボルドはたった45分間で13名を射殺、24名に重軽傷を負わせた後、自殺している。
彼らのように自ら命を絶つ犯人が一定数見られるのは、犯人が「自分自身の生」に対しても執着が乏しいからだろう。こういったケースを、他人を巻き添えにした「拡大自殺」と解釈する専門家もいる。
一方「連続殺人」は、一般に1人の人間が複数の相手を別々の場所で殺害するような事件の指し、「シリアルキラー」と呼ばれるのはこちらの犯人である。連続殺人の特徴は、犯人が「強い攻撃性」と殺害行為に対する快感を抱いていることだ。それゆえ、被害者を拷問するなど、犯行にサディスティックな特徴を見せるケースも少なくない。