2020.12.17
# アパレル

アパレル業界の「価格」がおかしい…!「値引き」のウラで広がる“二重価格商法”

消費者の信頼を失うことになりかねない
小島 健輔 プロフィール

「二重価格商法」のアパレルチェーンの実態

三陽商会は『建値消化率(「正価」販売率)45%、総消化率70%』(昨年の秋冬期と推察される)と開示しているから、「正価」で売れたのは半分以下で30%が売れ残ったことになる。品質に定評のある三陽商会でもそんなものだから、百貨店アパレルの「正価」販売率は半分にも届かないのが実情と思われる。

それは駅ビルブランドやSCブランドとて大差ない。大半のブランドの「正価」は調達原価の3倍程度だから百貨店ブランドほど極端な割高感はないが、中には19%とか16%とか極端に原価を切り詰めて割高な「正価」を設定し、品質の怪しい商品を煩雑なタイムセールで値引き販売する「二重価格商法」のアパレルチェーンもある。

そんなチェーンへの対抗上、他のチェーンも似たような「価格政策商品」を競うからプロパー時期から値引き販売が常態化し、消費者の「正価」不信を煽ってしまう。

 

調達原価の3倍程度の真っ当な(?)「正価」であっても、売れ行きの鈍い商品は編集陳列など販売消化努力(そんなスキルもないチェーンが大半だが)もそこそこに本部が値引きを指示するから、シーズンの後半は値引き販売が常態化する。

ライバルチェーンが値引きに走れば自社だけ「正価」販売を引っ張るのは難しいから、値引き販売に耐えられるよう調達ロットを増やしたり素材の質を落として原価率の切り下げを競うことになり、結果的とは言え「二重価格商法」になってしまう。それがまた「正価」への不信感を高めて値引き販売を広げるという悪循環が止まらなくなっている。

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