2020.12.17
# アパレル

アパレル業界の「価格」がおかしい…!「値引き」のウラで広がる“二重価格商法”

消費者の信頼を失うことになりかねない
小島 健輔 プロフィール

「二重価格商法」の是非

販売不振から結果的に値引き販売が大半となる「二重価格」はともかく、元から値引き販売を前提とした割高な「正価」を設定して値引き販売すれば「二重価格商法」が疑われる。

景品表示法では消費者の「有利誤認」を誘う偽装二重価格を禁じているが、「正価」で2週間以上販売実績があれば、元「正価」が如何に割高に設定されていても摘発はできないから、事実上のザル法になっている。2週間の間に「正価」で買った顧客は騙された感を否めないだろう。

かつては宝石製造販売最大手の三貴(「ジュエリーマキ」「じゅわいよ・くちゅーるマキ」)が公正取引委員会から排除命令を受けたり(95年)、イトーヨーカ堂が公正取引委員会から口頭で警告を受けたりしたが(99年)、消費者庁に管轄が移って以降は健康食品や美容機器などが摘発されることはあっても、「二重価格商法」でアパレル事業者が摘発されたケースは聞かない。あまりに値引き販売が常態化し、意図的な「二重価格商法」を特定することが難しくなったからと推察される。

 

余程に意図的で「正価」と実売価格の乖離が極端でない限り(三貴は最大9割引を謳った)、2週間以上の「正価」販売実績がある限り、消費者庁が「二重価格商法」を摘発することはないが、消費者は「二重価格商法」の実態を見透かして「正価」での購入を回避するから、「正価」での販売はほとんど困難になる。

「GAP」が長年に渡って様々な値引き販売を駆使した結果、「正価」での販売が困難になり、価格信頼感を取り戻すのに四苦八苦しているのは誰もが知るところだが、コロナ禍の過剰在庫を叩き売った百貨店ブランドやアパレルチェーンとて、もはや事態は大差ないだろう。

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