2020.12.16
# 外食

スシローが過去最高売上を出し、くら寿司が赤字転落した「明確な理由」

「原価率50%」が奏功した
三輪 大輔 プロフィール

「ビッくらポン」はテイクアウトできない…

例えば、「自動土産ロッカー」だ。自動土産ロッカーなら、ネットや店内、電話、FAXで事前注文したテイクアウト商品を待たずに受け取れる。2019年6月に兵庫県の店舗で初めて登場し、4月時点で16店舗に導入されていた。

また、スシローではセルフレジの全店導入も6月末で完了している。省人化や非接触の実現に重要なため、今後、2台目の配置も行っていく。この他にも、「自動案内システム」の導入店舗を増やしたり、「画像認識による自動会計システム」の実証実験をしたり、幅広い領域でDXの推進が進む。

 

つまり、数年前から取り組んでいたDXの推進と、ネタ重視の戦略がコロナ禍で相乗効果を起こしたからこそ、デリバリーとテイクアウトにマッチした体制を速やかに構築できたのだ。

実を言うと、「スシロー手巻セット」は過去に何度か販売したものの、その後しばらく扱っていなかった商品だ。コロナ禍で受け入れられると判断し、急遽復活させてヒット商品となった。

一方、くら寿司の強みは、サイドメニューの豊富さだ。ラーメンやうどん、うな丼はもちろん、たくさんの種類のデザートも並ぶ。コーヒーなどのドリンクのクオリティも、回転寿司とは思えないほど高い。近年、寿司以外のメニューを幅広く揃えるチェーン店が増え、回転寿司のファミレス化が進んでいた。その急先鋒がくら寿司に他ならない。

回転寿司のファミレス化が進んだ要因の一つに漁獲量の低下がある。漁獲量が減ると、原価が上がる。それは一皿100円が主流の回転寿司チェーンにとって致命傷になりかねない。つまり、上昇したコストを吸収する施策が、一匹の魚介を余すことなく使うメニュー開発であり、回転寿司のファミレス化であったのだ。

また、「ビッくらポン」に代表されるようなエンタメ性もくら寿司の売りだ。大好評を博した『鬼滅の刃』とのコラボでもビッくらポンが活用されており、集客装置として大きな存在感を放つ。

つまり、くら寿司は店での体験に力を入れており、来店ありきの店づくりを得意としているのだ。ただ、テクノロジーの活用も「時間制限管理システム」や「製造管理システム」、抗菌寿司カバー「鮮度くん」と、どちらかというと廃棄ロスを少なくし、店内のオペレーションを効率的にするものが多かった。

ビッくらポンも鮮度くんも、店内で食事することではじめて意味をなす。コロナにおいては裏目に出てしまったと言えるだろう。

SPONSORED