三上:スパイ同士が手を組むみたいな。
石崎:そうです。今回は使わなかったんですが、太平洋戦争のとき、軍部をまきこんだ製鉄詐欺みたいな事件があったらしいんです。
鉄鉱石も溶鉱炉も必要なく、砂鉄を集めてアルミニウムといっしょに燃やすだけが鉄ができるって話なんですが、それが海軍から政府に伝わって、あげく、衆議院で東条首相がこの製鉄法で大戦をまかなうべき鉄には不自由しないと演説して、議員が拍手喝采するまでになっちゃった。
これを知った物理学者があわてたそうです。
たしかに、その方法で鉄はできるけれど、それには鉄より貴重なアルミニウムを鉄の量の十倍くらいが必要になる。それじゃあ、一台の戦車をつくるのに飛行機を百機つぶすようなものだって、訴えたって話が残っています。
そんな、いわゆるトンデモ科学みたいな企画が、まじめに軍部や内閣に通ってたんですよね。
三上:ドイツなんかもっとやってたんじゃないですかね。
石崎:そういう嘘みたいな詐欺みたいな話があるから、この時代は面白いです。次回作にも生かしていきたいですね。
三上:楽しみにしています。
昭和30年。ヤクザの麻倉豪太郎は、人殺しの濡れ衣を着せられ、四国の山中を逃げまどっていた。追っ手に捕まる寸前、豪太郎は見目麗しい青年に助けられる。名は東海寺迦楼羅。自称・陰陽師。迦楼羅に問われるまま、豪太郎はこれまでのいきさつ──世にも奇妙な出来事──を語るのだが……。
突然人間が燃えはじめる「人間自然発火現象」、隠された文字を読み取る「透視」。科学では説明できない超常現象がからむ難事件を、陰陽師の技とヤクザの腕で解決していく新バディ・シリーズ!
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石崎洋司(いしざき・ひろし) 1958年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒。作家。『世界の果ての魔女学校』(講談社)で野間児童文芸賞受賞。「黒魔女さんが通る‼」シリーズ(講談社青い鳥文庫)は累計450万部の大人気シリーズ
三上丈晴(みかみ・たけはる) 1968年、青森県生まれ。筑波大学卒業後、学習研究社に入社。入社1年目から「ムー」編集部に配属。05年に5代目編集長に就任。テレビ、ラジオ、ネット動画などでも活躍している。(*「ムー」は現在、ワン・パブリッシング発行)「ムー」公式サイト