となると、気になるのは中国の高齢者だ。彼らは働かないでも食べていけるのだろうか? ヒマを持て余したりしないのだろうか?
まず思いつく仮説が「中国は若者が多い国だから高齢者の数は少ない」というものではないか。しかし、統計を見ると、中国は決して「若い国」ではない。中国の高齢化率(全人口に占める65歳人口の割合)は、2019年には12.6%にまで上昇している。
高齢化率7%以上が高齢化社会、14%以上が高齢社会、21%以上が超高齢化社会として区分される。28.7%にまで達して超高齢社会に突入している日本と比べればまだまだ若いが、世界的に見れば高齢化が進んでいる国なのだ。しかも、中国はともかく人口が多い。65歳人口の総数は1億7600万人、日本の5倍近い数字である。
中国の定年退職者のリアル
しかも、定年退職者を考えると、この数はさらにふくらむ。というのは中国の法律では、原則として男性が60歳、女性が55歳の定年となっていて、日本よりかなり低いからだ。現代日本の感覚だと55歳はまだまだ働き盛りだが、中国人女性はこの年から年金がもらえる。
一方で、この年齢を超えた後に働き口を探すことはかなり大変だ。屋台や雑貨店などの自営業者として働くならばともかく、コンビニなどでアルバイトをしたくても雇ってくれるところはほぼないだろう。少なくとも中国の都市部では60歳を超えて働く人の姿はきわめてまれだ。
では、彼らは何をやっているのか。都市中産階級の典型的な例で見ると、一番多いパターンが子ども世代の手伝いだ。日本もバブルの時代には「24時間働けますか」というCMソングが流れるほどのワーカホリックの国であったが、今の中国はそれ以上かもしれない。