中国人が「高齢になっても働かされ続ける日本人」に衝撃を受ける理由

「死ぬまで働きたいの?」
高口 康太 プロフィール

格差が大きい中国には、極めて苦しい生活を送っている人も、スーパー成金も、どちらもごろごろいる。しかしお金にはさほど不自由せず、不動産資産を持ち、子どもの手伝いをしながら生きている高齢者はそれ以上に多く、都市中産階級の典型例といってもさほど間違いにはならないだろう。

若い世代が抱く「老後への不安」

どんな老後を過ごしたいかは人それぞれとはいえ、上述したような中国の老後をうらやましいと思う日本人は少なくないのではないか。いや、日本人だけではない。中国の若者世代もまた、自分たちの親の老後をうらやましく感じている。というのも、彼らが年老いた時には、中国は確実に別世界になっているからだ。

まず年金だが、中国の年金財政はすでに黄信号が灯っているとされる。1981年には68歳だった中国の平均寿命は、2019年には77.3歳まで到達し急激に伸びている。もはや立派な長寿国だが、一方で定年は以前から改定されないまま高齢者は増加傾向にあるので、年金の総支給額は増え続けて年金財政は火の車となっている。

 

寿命が延びたのだから定年も伸ばすのが道理なのだが、「モーレツに働かされたうえに、定年まで伸ばされるのは勘弁して!」と中国庶民の反発は強い。実は2012年に定年引き上げの動きがあったのだが、世論の猛反発によってあえなく撤回された。

中国共産党による一党独裁の中国ならば、自由気ままに政策が決められるかと思いきや、決してそうではないのが面白いところだ。選挙を経ずして統治している独裁者だからこそ、「民を愛し、民に支持される支配者」というポーズを守らなければならないのだ。

民主化運動家や少数民族独立派に対しては暴力的な行動を取ることも多いが、だからこそ逆に大多数の人民にはおもねらなければならないという逆説的な一面がある。

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