かくして、地域レベルでは、火葬場や化学プラントの建設などの計画は住民の反対でしばしば撤回される。こうした地域的な反発にも配慮するぐらいだから、全中国人民が大反対する定年引き上げなどどれだけハードルが高いか、わかろうというものだ。
それでも年金財政を破綻させるわけにはいかないので、いつか定年は引き上げられるだろう……ということを若者世代はよくわかっている。
40代で定年退職させる企業も
だが、定年まで働けるならばまだいい。問題は、それまでに肩叩きに遭わないかどうかだ。先に述べたとおり、中国の民間企業はかつての日本さながらのモーレツ社員的ワークスタイルを前提として成り立っている。が、そんな働き方は若いうちしかできない。そこまでの体力はなくても、窓際族としてちんたら働くというのが国有企業的スタイルだが、民間企業では容赦なくクビを切られてしまう。
社員をモーレツに働かせる企業の代表格として知られるのが、通信機器・端末大手のファーウェイだ。同社には45歳定年制という恐るべき制度があり、幹部として出世できなければ45歳で会社を辞めないといけない。ひどい会社のようにも思えるが、実は45歳までバリバリ働くと、社員持ち株制度の配当金によって、毎年かなりの金額をもらえるようになるのだとか。

ファーウェイは早期退職をさせても不満がでないような仕組みを取り入れているわけだが、他の「モーレツ企業」にはそんな制度はなく、40代になったら特に理由も特別な手当もなく肩叩きに遭うということも多いのだ。今年話題となったのは中国IT大手テンセントだ。一部の高齢社員に早期退職を促したというが、その基準が恐ろしい。なんと35歳以上が高齢という扱いで退職を勧められたのだ。