ニセコ歴20年、金融コンサルタントとして富裕層ビジネスを熟知した著者・高橋克英氏による、新しい地方創生・観光論。バブル崩壊以降、本当にリスクを取ったのは誰だったのか? 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか 「地方創生」「観光立国」の無残な結末』より毎日連載!>今までの連載はこちら!
それでもニセコは世界31位
世界トップクラスのスキーリゾート地となったニセコは、世界中の富裕層が訪れるようになった。しかしそれでも、フランスのクーシュべル、スイスのアルプスに位置するサンモリッツ、グシュタード、米国コロラド州のベイルやアスペン、カナダのウィスラーなどの世界の高級スキーリゾートと比較すると、ニセコの不動産はまだリーズナブルな価格帯といえる。そのため、引き続き割安として世界から投資家の需要が集まることになる。

実際、英国サヴィルズの「The Ski Report」によれば、2019年10月時点の1㎡当たりのリセール住宅価格は、クーシュベル1850がトップ、アスペンが2位、ベイルが6位、サンモリッツが7位となっている。ニセコは、日本ではトップながら、世界では31位であり、トップのクーシュベルの半額以下の価格帯となっている。
下記の図表は、北米を代表してベイルと、欧州を代表し最高峰とされるクーシュベルと、アジア太平洋代表のニセコを、マリブジャパンの分析のもとで比較したものだ。

クーシュベルの強みは、世界の中心地でもあり有数の富裕層エリアといえる、コートダジュール・モナコ、北イタリア・湖水地方、スイス、南ドイツの三角地帯に囲まれた欧州アルプスという最高の立地にあることが最大の強みだ。この恵まれた立地のお陰で、地元フランス、イタリア、スイス、ドイツといった国の富裕層だけでなく、英国やロシアを含めた欧州全土、更に、サウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)、カタールといった中東の王族や富裕層からの集客も見込める。富裕層のマーケットに圧倒的に恵まれているのだ。
これは、北米の雄であるベイルにも言える。世界最大の富裕層を抱える米国の富は圧倒的であり、かつ米国は年間5400万人がスキー場を訪れる世界最大のマーケットでもある。