「脂肪」と「糖」を同時に摂るから太る
メタボリックシンドロームは原因を正さなければ改善しません。では4つの診断基準の原因について考えてみましょう。
・ウエストが太いのは太りすぎ
・高血糖は糖質の摂りすぎ
・高脂血症は悪い油の摂りすぎ
・高血圧は塩分の摂りすぎ
では、まず1番目の太りすぎについて解説していきましょう。
400キロカロリーと800キロカロリーのお弁当があったら、「ダイエットしているからカロリーの少ないほうを買おう」という人も多いでしょう。糖質は1グラムが4キロカロリー、タンパク質もわずか4キロカロリー、しかし脂肪はなんと1グラムが9キロカロリーもあります。では、同じ100グラム食べたら、糖質とタンパク質と脂肪のどれが一番太るでしょう。たいていの人は脂肪と答えます。しかし実際は糖質なのです。その理由を説明しましょう。
●タンパク質を摂ったとき:中性脂肪に変換されないため、タンパク質を摂っても太りません。
●糖質を摂ったとき:血糖値が上がり、それを下げるために膵臓からインスリンが分泌されます。そのインスリンに脂肪細胞膜の表面にある糖輸送体(GLUT)が反応して、糖を脂肪細胞内に輸送し、脂肪に変えます。ですから糖質を摂ると太ります。
●脂肪を摂ったとき:血糖値は上がりません。そこで、膵臓から血糖値を上げるためのグルカゴンというホルモンが分泌されます。このホルモンに脂肪細胞中のホルモン感受性リパーゼ(HSL)という脂肪分解酵素が反応し、脂肪を分解して栄養として血中に放出します。ですから脂肪だけを摂ると痩せます。
●脂肪と糖質を同時に摂ったとき:末梢血管の内皮細胞に存在するリポタンパクリパーゼ(LPL)という酵素が働き、血中の脂肪を分解して脂肪細胞内に蓄積させます。つまり脂肪と糖質を同時に摂るとダブルで太るのです。
鰻重のタレの染みたホクホクのご飯、それを食べないでください。カツ丼の甘いだし汁の染み込んだつゆダクのご飯、それも食べないでください。摂取カロリーが多くても、タンパク質と脂肪だけなら太ることはないのです。摂取カロリーが少なくても、糖質を摂るから太るのです。