政府の経済対策への評価
「第三波」と俗称される11月後半から現在に至るまでの新型コロナの感染拡大、それに伴う政府の経済対策への評価は激しく割れている。
野党や主要メディアの大半は、Go Toキャンペーンを感染拡大の「主役」として批判していた。そしてGo Toトラベルが全国的に一時停止されると、今度は観光業界など経済が混乱していると政権批判を強めている。また、それに先立って発表された第三次補正予算案についても、主要メディアは巨額の政府支出であると財政規律の観点からやはり批判している。

現在の新しい政権批判のムーブメントは、「緊急事態宣言を再び出すべきだ」という主張である。Go Toトラベル叩きから「緊急事態宣言しかない」とワイドショーやニュース番組は盛んに喧伝し、そして立憲民主党の枝野幸男代表や国民民主党の玉木雄一郎代表らも声を揃えて、地域限定とはいえ緊急事態宣言を唱えている。
しかし、本当に緊急事態宣言が有効なのかどうかについては議論があるだろう。
海外の研究や、また最近では渡辺努東京大学教授らの実証研究で、4月7日から5月25日までの緊急事態宣言のような行動変容への介入効果と、政府が感染拡大のリスクを情報提供する効果とを比べると、後者の方がはるかに役割は大きいとしている。
緊急事態宣言の感染抑止効果がはっきりしない一方で、経済的な打撃だけは鮮明である。
緊急事態宣言の最中であった今年4-6月期の実質GDPは前期比で8.3%減と、リーマンショック時の倍近くの落ち込みだった。しかも新型コロナ危機の特徴は、その悪化のスピードが他の経済不況と比較して極めて早いことにある。
特に顕著なのは「雇用の悪化」だ。