日本は紛れもなく“化粧品大国”。欧米の大手化粧品ブランドが競うように“日本向け製品”を開発するほど、巨大かつ重要なマーケットを持っています。ましてや国内にある化粧品メーカーの数は数千社とも言われ、日本ほど「国産化粧品」を多く持つ国も他にありません。

そんな市場を牽引してきたブランド、群を抜く研究開発力を持つメーカー、自らマーケットを拡大してきた流通まで、「日本のビューティ」を世界に誇れるものにしてきた JAXURYの主役たちをここにレポートし、その功績を讃えます。

そもそも『JAXURY』とは?
FRaUが発信する、世界に誇れる日本の美しさ「JAXURY」を徹底解説!
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10万円超えの超高級クリーム。なぜ日本のブランドが主役なのか?

高級クリーム……そこには特別な響きがある。耳にしただけで、もう美しくなれそうな。理屈を超えた何かの力が宿っている証だろう。
クリームの歴史は思いのほか長く、本来もっと後に始まったものと思われていたのが、古代ローマの女性が愛用していたクリームが21世紀に入って発見される。おそらくは2世紀のローマ人の手になるもので、ラノリンつまり羊の毛油に、デンプン、すずの成分が検出され、肌を白くし、今で言うファンデーションの役割も果たしたと思われる。人体に有害な成分を含んでいたが、美への執念はそうしたリスクも辞さなかったということ。
いずれにせよ、クリームには2000年以上に亘る女性たちの祈りが凝縮されているだけに、特殊な力を宿していても何ら不思議ではないのである。
とりわけ「高級クリーム」というカテゴリーは有無を言わせぬ圧倒的な力を持ってしまう。だから10万円を超える高額クリームが存在しても少しも違和感がない、そういう世界なのである。
ただ不思議なことに、10万円以上のクリーム市場は日本のコスメブランドが見事に先行している。世界的な最高級ブランドのラ・プレリーやゲランが、15万円、16万円といったとてつもない価格のクリームをデビューさせたこともあるにはあるが、外資系ラグジュアリーブランドのほとんどが、高級クリームの価格を最高でも6万円程度に抑えている。
これに対し、日本の有名ブランドはある種当たり前に10万円を超える価格の超高級クリームを常時ラインナップしているのだ。クレ・ド・ポー ボーテ12万円、コスメデコルテ12万円、KANEBO12万円、メナード10万円、ノエビア10万円……まさに10万円超えクリームの市場が完全に確立していると言える。
でもなぜ、日本のブランドは10万円超えにこだわるのか? そしてなぜ12万円(税込みでは、いずれも13万2000円となる)なのか? ここについては諸説あり、当然のことながら個々に理由があるわけだが、最高額にこだわるブランドを見渡せば、やはり「日本の頂点に立つクリームは、自分たちが作るのだ」という自負がそれぞれとても強い気がするのだ。

「いっそ頂点のクリームを使いたい」。高級クリームは化粧品である以上に「女の夢」

いやそれ以上に、日本女性は高級コスメ志向がことのほか強く、「高いものほどよく効く」という、昔ながらの法則は今も息づいていて、「いっそ頂点のクリームを使いたい」という顧客ニーズが高級クリームを作らせたと言っても良い。市場を作ったのが、最高額のクリームをこそ望むような上顧客に支えられる、日本有数のラグジュアリーブランドたちであるのは間違いないのだ。少なくとも、日本の市場に10万円超えクリームが多い理由の一つはそれ。使いたい人がいるから、躊躇なく作れてしまう……そういう背景があったのだ。
ちなみに、10万円超えクリームを望んで使う人は一体どんな人なのか? これについては、富裕層に限らず、20代の一般女性がそのために積み立てをして買うことすらあると言われる。つまり10万円超えの最高級クリームは、化粧品というアイテムの定義を超え、「女の夢」そのものなのである。
では作る側にとって、10万円超えのクリームとは一体何なのだろう。言うまでもなく他の製品とは一線を画す特別な逸品。たまたま最高額がついたのではない。あえて最高額を掲げる意図を持って作られたクリームであるのは確か。
従ってそこには、そのブランドが持てる財産のすべてが注ぎ込まれている。それはもう惜しみなく。 とはいえ尚、たかだか30gのクリームに見合う価格なのか? と思うのかもしれない。
事実、3万円を超えればもう高級クリームと呼ばれる。じゃあ3万円と10万円の差はどこにあるのかと考えると、10万円超えはもう別次元。同じクリームでも全く別のアイテムであると捉えるべきなのかもしれない。
ましてや今、プチプラコスメと呼ばれる安価な化粧品の品質がみるみる高まっている時代。実のところ「高いものほどよく効く」という法則は、もはや最高額の理由にはならなくなっていて、そこにはさらなる強力な説得力が必要となるが……。

10万円超の超高額クリームは、むしろリーズナブル!?

ところが一方にこんな見方がある。むしろ実力あるブランドの最高額クリームこそ、到ってリーズナブルであるという……。否応なしにそれは、ブランドの真価がそっくり問われる絶対的一品となるわけで、必然的に各社がプライドのすべてをその研究開発にかけてくる。言わば自らエントリーして、頂点に立つ化粧品を競う自信と気概があってこそ、最高額を選んでくるとも言えるわけだ。

 

妙な言い方だけれども、金に糸目をつけずに全身全霊をかけて作り上げた、歴史的傑作であると考えてもいいのだろう。
ちなみに化粧品の高価格は、一つ一つが極めて高価な原材料費もさることながら、膨大に投資した研究開発費が反映してくるとも言われる。さらに、これ以上かけられないほどの手間をかけた処方に加え、パッケージにこれでもかというまでの贅を尽くすのはもう当然のこと。原価率よりも投資と手間の結晶として、評価すべきなのだろう。
まるで申し合わせたようにそれをリミット12万円で仕上げたのは、いずれも歴史あるブランドだけに、これ以上高くてはいけないというある種の勘が共鳴した結果というほかないが、どちらにせよ、先進性、発想力、技術力、創造性、感性のすべてを競い合うような、究極の自信作がここに火花を散らすのである。

クレ・ド・ポー ボーテは、消えゆくリンパ管を蘇らせるクリーム?

例えば資生堂クレ・ド・ポー ボーテ。このコラムのVol.2でもご紹介したように、資生堂は、化粧品開発のオリンピックとも言える国際化粧品技術者会連盟 IFSCCの最優秀賞をほぼ毎回獲得しており、その数は2位を大きく引き離す断トツの世界No. 1。その受賞たる新発見の多くが搭載されていくのは、 他でもないクレ・ド・ポー ボーテなのだが、この最高峰ブランドの中でもさらに最高位に位置するのが「シナクティフ」シリーズ。奇しくもこの2月に大きく進化し新生デビューを果たすが、そこでも12万円クリームが厳然たる存在感を見せつける。
デビューに際して発表されたのが、「実は老化の最大原因とも言えるリンパ管が年齢とともにどんどん消滅してしまう」という驚くべき発見だった。そうなると老廃物が回収できなくなり肌はどんどん衰えるという理論。その“ゴースト・リンパ管”を蘇らせるのが、シナクティフのクリームなのだ。まさに化粧品の領域を大きく逸脱するような未来の働きを持ち、その上で資生堂の財産のすべてを注ぎ込んだ最強スペックは、間違いなく世界に例を見ないものと言えるのだろう。

夜の肌を見つめ、新成分ピュリファイングB(保湿・整肌成分)を高濃度で配合。内側から光を放つ肌に。シナクティフ クレーム 40g [医薬部外品] ¥132000(税込)/クレ・ド・ポー ボーテ