2021.01.05
# ドラマ

26年を経て明かされる、NHK朝ドラ『春よ、来い』主演交代劇の真相

安田成美さんの突然の降板
高堀 冬彦 プロフィール

人情の機微を描く脚本

降板理由の発端は脚本にあった。ただし、歴史観に関わるストーリーへの不満等ではない。安田が初体験だった橋田さんの脚本になじめなかったというのが正しいだろう。

実は最初に脚本になじめないと言い始めたのは安田ではなかった。レギュラー出演していたベテラン女優である。やはり橋田さんのドラマは初めてだった。

『渡る世間は鬼ばかり』(TBS)を見れば分かるとおり、橋田さんの脚本は日常の小さなエピソードを大切にする。人情の機微を描くから、ややもすると演じる側としては進行がゆっくりしているようにも思えるらしい。ベテラン女優にはしっくりこなかった。

また、ベテラン女優は橋田さんがアドリブや収録現場での脚本の修正を許さないことにもどかしさを感じていたという。山田太一氏(86)ら大御所はみんなそうなのだが、一方でアドリブや修正を許す脚本家も多いからだ。

 

ベテラン女優は座長(主演)の安田に向かって自分の思いの丈をぶつけ続けた。当時28歳の安田の気持ちは徐々にベテラン女優の考えに同化していった。

その後、安田は制作陣に対し、自分たちの意向を酌んでほしいと訴えた。ドラマの現場ではそう珍しくないことである。だが、制作陣はそれを橋田さん側に伝えることを躊躇した。

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