ノルウェーの「サステナブル」な漁獲方法

日本産とノルウェー産さばでは、そもそも漁獲方法が異なることも特徴的だ。冬から春にかけて行う日本に対して、ノルウェーでは漁獲時期をより狭め9月、10月の2ヶ月に集中させることにより、国を挙げての資源管理を徹底しているという。背景には、かつての大きな過ちの影響が大きい、とグンバル氏が続ける。

「1960年代のノルウェー近海では、乱獲によりニシンの産卵量が激減して、資源枯渇の寸前まで落ち込んだことがあります。1971年には漁獲規制を制定したことで危機を逃れましたが、我々も試行錯誤をしながら成長してきた過去がある。その結果、ノルウェーでは秋さばを集中して漁獲することでサステナブル漁業の実現に近づくという結論に至りました

私達は日本政府や日本の水産食品メーカーとも協議を重ね、お互いに視察を重ねて意見交換をしてきました。重要なことは、いかに未来への資源ストックを保つか、ということ。レギュレーションが変わる国際漁業において、両国が連携して資源管理の視点を持つことは必要です。そのことが、食卓に美味しい魚を絶えず届け続ける未来に繋がっていくと考えています」

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日本の漁業・養殖業生産量は1984年にピーク(1,282万トン)に達した後、95年代にかけて急速に減少し、その後も暫減傾向が続く。2018年には1984年の約3分の1程度にまで生産量が減り、年々海外からの輸入に頼る側面も強くなっている。それは、さばのように日本が世界でも最も消費量が多い魚に対しても同様のことがいえるのだ。そして、ことさばに関しては、輸入と漁獲量の見極めのバランスがとれているからこそ、近年では大きな不漁や極端な高騰も生じていないともいえるのかもしれない。