2021.01.31
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「今度こそはきちんと生き抜く」…超人気作『無職転生』の“圧倒的切実さ”の正体

累計ランキング1位を5年以上保持
飯田 一史 プロフィール

転生後は天才少年ルーデウス(ルディ)として魔法を師匠ロキシーに習い、その魔法を今度は家庭教師を務めることになったエリスに7歳にして教え、街の人たちからも信頼を得て楽しい生活を送っていた――ところに、町上空の魔力暴走が起きて彼らの住む土地の住人たちはみな見知らぬ土地に飛ばされてしまう。

ルディは師匠ロキシーから「絶対に近づいてはならない」と言われたスペルド族のルイジェルドに命を助けてもらい、いっしょに魔大陸まで飛ばされていたエリスとともに故郷への帰還を目指す。

ところが旅の途中でやっとの思いで父パウロに再会できたのにルディは「今までお前は何をしていたんだ」と罵られてしまう。ルディたちだけでなく、家族みんなが散り散りになり、見つかっていなかったからだ――。

 

なろうの代名詞的作品は、なろう系の典型か?

「転生後は世界最強クラスの才能を持ち、前世の知識も活かして並の大人にもできない活躍をする」「複数の異性から言い寄られ、結ばれる」というところは、いわゆる「なろう系」の典型だが、「なろう」連載作品に対して時折言われる「ずっと気持ちよさを与え続けないと読者が離れていくので、鬱展開は望まれない」といった特徴はない。

序盤こそ気持ちのいい最強主人公ぶりを発揮した展開をするが、エリスと一緒に飛ばされて以降は主人公が落ち込む展開もあれば、悲惨だった前世の記憶がリフレインして傷つく描写もある。

もちろん「本気で生きる」と決めたルディはそれでも負けずに立ち向かっていくが「ほとんどピンチらしいピンチを経験しない」とか、読む前から「どう見ても勝つだろうという戦いや試練ばかりが描かれる」タイプの作品ではない。

意外とハードなのだ。

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