2021.01.18
# IPO

ソフトバンクも手を出した「SPAC」上場、いまアメリカで大流行する「危ない仕組み」

小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

まず、企業のIPO(株式初公開)が盛況だ。ブルームバーグによれば、昨年の米国での株式上場は500社程度、調達金額は約1800億ドルと過去最高を記録した。民泊仲介の「エアービーアンドビー」の初値は公開価格の倍となり、日本円で10兆円規模の時価総額をつけた。

Photo by Gettyimages

企業のM&A(合併買収)も極めて活発だ。調査会社リフィニティブによれば、昨年下期のM&Aは史上最高の1.9兆ドルを記録。一時的に停止していた案件が動き出した反動もあるが、ロックダウンが続く中で前年同期比2割近く伸びている。

さらに、スタートアップなどに投資をするベンチャーキャピタル(VC)にも潤沢に資金が集まっている。

米国失業者が新型コロナ発生前と比べて10万人増加している中で、金融関係者は昨年、暮れまで忙しかったのだ。年末ボーナスも悪くなかったに違いない。

 

スパック(SPAC)って何だー「白地の小切手」を手渡す投資とは?

大盛況のIPOやM&Aの大きな要因が、「SPAC (特別買収目的会社)」だ。ファクトセットによれば、昨年の第3四半期の米国IPOの実に半分近くがSPAC(スパック)によるものだった。

「スパック」って、何のこっちゃ?日本語でワードサーチをかけると「静岡芸術劇場(Shizuoka  Performing Art Center)」が上位に食い込んでくるぐらいだから、いかに馴染みのない言葉であるかが分かる。でも、日本企業ではソフトバンクグループが先陣を切って、SPACを使った資金調達に乗り出している。

「買収目的会社」という名の通り、SPACは自分で事業は行わず、スタートアップなど未公開企業の買収・合併だけを目的とする。

一般企業のように株式を公開して市場から資金調達するが、大きな違いがいくつかある。まず、上場時点ではSPACには何の資産もなく、ビジョンだけのペーパーカンパニーであること。さらに、他企業の買収を目的とするにもかかわらず、上場時点ではその肝心の買収先が未定だということだ。

あまり知らない人から「これから有望な会社を買収しますから、私に投資して下さい。でも、まだ投資先は分かりません」と言われて、あなたはお金を渡すだろうか?投資家から見ればまさに白紙の小切手を手渡すようなものなので、SPACは「ブランクチェックカンパニー(白地小切手会社)」とも呼ばれる。

ではなぜ、SPAC投資がここに来てこんなに活況を呈しているのだろう?

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