バリキャリの妻に実は不満を抱いていた

奈緒美さんは、これまでに外資系企業を何社か渡り歩いてきている。子どもが小さかった当時は、証券会社にいた。リーマンショック後で、かなり大変な時期だった。
「毎日、生きるか死ぬかくらいの気持ちで仕事をしていました」

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子どもは保育園に預けていたが、夜9時ごろまでの延長保育を頼み、家に連れて帰ったらお風呂に入れて寝るだけの生活だった。普通の母親のようなことは、ほぼできずにいた。元夫は、黙って協力してくれた。

奈緒美さんの両親はすでに亡くなっていたので、子どもがいきなり熱を出したなどのピンチは、新幹線の距離に住む元夫の両親に「今から来てください」と、応援を頼んで乗り切った。

大変だけれども、仕事と子育てで充実した日々――そう思っていたのは、奈緒美さんだけだった。
「彼は私に、長男の嫁として子どもの母親として、もっと家庭的であってほしいと思っていた。言ってくれなきゃわかりませんよね。離婚調停の場で初めて彼の気持ちを知り、そうだったんだ、と愕然としました」

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元夫は、10年間近くも結婚生活に不満を抱きながら、それを奈緒美さんに伝えられずにいた。そして、女性に癒しを求めて、ついには家庭から逃げてしまった。弱すぎる! と思う。一方で、かわいそうだな、とも。

「10年って、長いですよね。その間、彼はずっと我慢して暮らしていたんだなと思ったら、なんだか気の毒になってきて。そんな中でも子どもに対しては、精一杯やってくれていたんです。キャンプに行ったり、バーベキューをしたり、子どもとの楽しい生活を私たちに与えてくれたことについては、感謝の気持ちが少しずつですが芽生えてきました」