私の仲間はいくつかの州で重大な不正があったと選挙結果を認めることに反対しており訴訟で戦った。それは全く正当な行動だったけれど、ウィスコンシン州最高裁で認められず、ジョージア州などの連邦裁判所で認められず、連邦最高裁で訴えが却下された以上、これ以上抵抗しても意味がない。過去の例を見ても、選挙結果の確定をこれ以上遅らせるのは、混乱を増すだけだ。もうすべて終わったんだ。バイデンが勝った。
「自分はバイデンが大統領になるのは嫌だけれど、憲法と法律には、選挙の行われた翌年の1月6日に連邦議会の上下合同会議で各州から受け取った両候補の獲得票数を確認承認して、選挙人の過半数を獲得した候補が次の大統領に就任するとある。その意味するところは明確だ。それを本日ここで行うのが、我々の義務である、副大統領、憲法に従ってそれをしてください」と雄弁に述べました。
こうした経緯を経て、票数の数え直しを求める共和党の一部議員が提出した動議は圧倒的多数で否決され、最後にペンス副大統領が上院議長として両候補の獲得票数を淡々と読み上げ、最終的にバイデン勝利を確定します。ペンス副大統領はトランプ大統領から選挙結果を確定するなと要請されていたのですが、憲法上自分にはその権限がないと要請を拒否し、バイデン候補の勝利を宣言して義務を果たしました。
彼の「バイデン候補306票、トランプ候補232票」という言葉には重い意味が込められていました。実はこの日審議に入る前、憲法の規定に従って自分の義務を果たすという覚悟を手紙に認めて各議員に送っていましたが、議場では何もそのことに触れていません。全てが終わった時、時計の針は翌日の午前3時半に近づいていました。

こうして議事堂襲撃の直後、アメリカの立憲主義と法治主義は生き伸びましたし、何より機能しました。それが、今回の事件のもっとも重要な点じゃないかと思うんです。民主党と共和党の議員どうしは、相変わらずお互いの主張を繰り返していますが、そうした立場の違いを超えて憲法と法律の規定した手続きを最終的に守った、立憲主義への恭順を示した。
それゆえに、この日の出来事はこれからのアメリカについて、アメリカの民主主義、立憲主義、法治主義についての希望をつないだ、と私は感じています。