新型コロナ「医療崩壊」のウソと現実…なぜ重症病床がこんなに少ないのか

不安と不満…コロナで分断されるこの国
週刊現代 プロフィール

コロナ病院を建設せよ

新型コロナが感染症法の2類から、例えば5類に変更されれば、軽症、中等症の患者は一般のクリニックでも診察可能になる。

そうなれば、現在、軽症、中等症の患者を受け入れてパンクしている病院に、人材や医療資源の余裕が生まれ、重症者の受け入れがスムーズに進む可能性がある。

日本では医療機関の横の連携など機動性が低いという問題もある。医師で、医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が語る。

「今回のコロナの第一波、第二波もそうでしたが、感染症の波というのは、一度盛り上がった後、必ず落ち着くんです。

なので、感染者が大幅に増加したら、緊急ではない手術は延期して、ICUなどの病床や、医師、看護師などの人員をコロナ病床に集中して配置する。コロナの波が落ち着いたら、元に戻す。これは世界各国で行われています。しかし、日本の医療体制はこの機動性が極めて低いのです」

『社会保障の「不都合な真実」』などの著書がある、学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏が語る。

「東京都や神奈川県の病床がいっぱいだといっても、東京都の隣には山梨県が、神奈川県の隣には静岡県があるわけです。広域で考え、病床の調整をすればいい。しかし、厚労省はそういったことをまったくと言っていいほど、やっていません」

例えば山梨県の重症用ベッドの使用率は8%、静岡県は16%だ(1月6日時点)。こうした病院間の調整を政府や自治体、さらに医師会が積極的に行えば、事態はぐっと好転する。

 

昨年3月、中国は武漢にコロナ専門病院「火神山医院」をわずか10日で建設した。病床数1000床で、中国全土から集められた専門医たちが24時間体制で重症患者らの治療に当たった。

最大17万人が感染していたと言われる武漢のパンデミックを数ヵ月で抑え込んだ大きな要因となったのは間違いない。即時、日本にもこのような専門病院を建設するのも手だろう。

あるいは政府が100億円、1000億円単位で予算を投じて、既存の国立・公立病院に重症者専用の病棟を建設するというのも有効ではないか。今は多少強引でも、即効性がある施策を行うしかない。手遅れになっては取り返しがつかない。

前出・唐木氏が語る。

「コロナ対応をしている一部の医療機関は確かに『医療崩壊』の危機に瀕しています。しかし、その背後には大きなキャパシティがあり、それを活かして病床数を増やすという努力を、政府も医師会も十分に行ってこなかった。その『医療崩壊』のツケは国民に回されてしまっているのです」

医療従事者は苦闘している。だが、それはわずか—。この状態を放置したままで、危機を乗り越えることはできない。

『週刊現代』2021年1月23日号より

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