ところが、ワクチン接種のスケジュールは、厚労省の資料として一般公開されたものであり、NHKの報道もこれに沿ったものだった。一般的に考えればこのNHKの報道は「デタラメ」ではない。厚労省と河野大臣の間に齟齬があったとしても、それは行政内部の問題であり、NHKは厚労省の資料という根拠を元に報道しているからだ。
更に、行政内部での調整の不徹底さは、政権の要である官房副長官との間にも見えた。河野大臣は1月22日の会見で、ワクチンの確保スケジュールに関して「政府内の情報の齟齬がございまして、あのスケジュールに関するご発言については修正をさせていただきます」と述べ、坂井学官房副長官の「6月までに確保する見通し」という発言を「削除」した。
しかし、坂井副長官は齟齬があったことは認めたものの、会見で「発言は撤回しない」と述べ、政権内部の不一致が露呈した。
ワクチン接種に必要なのは、無闇に目立つように発言を行う「発信力」ではなく、「正確な発信」ではないか。このように行政内で調整がつかないままに発信が行われることによって、国民は混乱し、ワクチン接種への不信感が高まる。
さかのぼって、防衛大臣時代。イージス・アショアをめぐる報道では大手紙などを「フェイクニュース」と批判したものの、結果的には報道どおりに、秋田への配備は撤回された。
フェイクニュース。
— 河野太郎 (@konotarogomame) May 7, 2020
朝からフェイクニュースだと伝えているのに、夜のニュースでも平気で流す。先方にも失礼だ。 https://t.co/qM1U0JWlmt
河野氏は当時のブログでこう述べている。
「朝、食堂のメニューが出る前に「河野太郎は今日の昼、カレーを食べる方針を固めた」という報道が出たら、それはフェイクニュースだ。「私は、メニューを見るまで昼に何を食べるかを決めない」と言っているのを聞いて、それでもメニューが出る前に「河野太郎は昼にカレーを食べる方針を決めた」というニュースを流すのは、さらにたちが悪い。」