『エヴァ』がTV放送から26年経っても、若者に「絶大な人気」を誇る理由

登場人物に、どうしても共感してしまう
溝部 宏二 プロフィール

この時期に見られる非行などの問題行動は、子ども時代に比べ複雑な社会を前にして、上手く対応することが出来ない彼らの心の叫びなのである。エヴァに登場するパイロットたちは、そんな発達段階にいる年ごろの子どもたちなのだ。

しかし、アイデンティなるものは存在するのであろうか? アイデンティ概念を提唱したErikson, E.H.はユダヤ人であり、「唯一の神と契約する人間も唯一の存在でなければならない」との信念からアイデンティを着想した。この概念は、ユダヤ教圏だけでなく、キリスト教圏及びイスラム教圏や近代日本でも一般的である。

近年その信憑性は疑問視されているものの、エヴァの登場人物たちは、このアイデンティティが確立されていないがゆえに「確立された本当の自分」を求めていると解釈できる。

「アイデンティティ」という概念を提唱した発達心理学者エリク・ホーンブルガー・エリクソン[Photo by gettyimages]
 

意外に「社交的」な碇シンジ

それでは、エヴァの主要登場人物はどのような性格的特徴を持っているのであろうか。いわゆる類型論(パーソナリティをいくつかのカテゴリーに分けて質的に分類する方法)を用いて、碇シンジと式波・アスカ・ラングレーという2人の性格について説明する。

なお当然ながら、筆者は彼らと直接話した経験はない。あくまでも作品内の両者の言動を見たうえで、1つの可能性を述べていることを断っておきたい。

まずは、主人公の碇シンジであるが、彼の基本的特徴は「社交性」である。意外に思う方も多いであろうが、シンジは同調を旨とし、他者をそのまま自分に受け入れて模倣する「対象との一体化」に慣れている。

たとえばTV版の第九話では、分離型の使徒イスラフェルを殲滅するために、エヴァ2体の動きを完璧にシンクロさせる必要が生じた。シンジはアスカと動きをシンクロさせる訓練を行うが、意外なことにそつなくこなす。相手を見て、動きをそのまま取り入れることが得意な証拠であろう。

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