『エヴァ』がTV放送から26年経っても、若者に「絶大な人気」を誇る理由

登場人物に、どうしても共感してしまう
溝部 宏二 プロフィール

従来であれば、アイデンティティを確立できなかった若者は、何らかの反応が生じ人間関係を構築できなかったものである。しかし現代では、そのような若者であってもコミュ力を手にすることによって、学校など閉じられた空間で他者と上手に付き合い、スクールカースト上位に君臨することが可能となった。

シンジとアスカの性格は異なっているが、それぞれが「コミュ障」の烙印を押されかねない不器用さを備えている。

また筆者にエヴァを教えてくれた思春期外来を受診する若者にも、同じようにコミュニケーションに悩みを抱えている人が多いのである。彼らは、自分たちが持っていない「幻のアイデンティティ」に拘り苦しんでおり、自らと同じ悩みを抱えるエヴァの登場人物に自分を重ね合わせていると考えている。

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自分の居場所を見つけられず、悩みを抱える若者がエヴァンゲリオンのパイロットたちに共感するからこそ、放送から26年経過しても熱心な若いファンが絶えないのではないだろうか。

3.11後の作品である『シン・ゴジラ』で、庵野秀明監督はゴジラという不条理を不条理のまま承認する姿勢を見せた。世界中が未曽有の不条理に覆われて、他者との関係性も大きく変化しているコロナ禍の今、彼はエヴァ最終作にいったいどんな結末を用意しているのだろうか。

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